Day2.09

言い過ぎたなぁとシュガーは落ち込んだ気持ちでコテージへと歩いていた。オリーブに言った言葉は自分自身に言い聞かせたかった言葉だ。オリーブに自己投影してしまった。彼女と自分は違う。わかってはいるけれど。

悶々と考え込みながら、いつしかコテージのある広場に着いていることに気が付いたシュガーは、早々後悔した。

「ガナッシュ、この前誕生日だったよね……?」

キャンディの告白場面である。

「誕生日?もう随分前だったけど…それがどうしたの?」

「いや、その、実は、その時プレゼント用意してたんだけど、渡せなくってさ…今日持ってきたんだ。あはははは」

「あ、そう……ありがとう」


あーもう!なんでこう言う場面に出会すかな!知ってたじゃん私!
別に盗み聞きするつもりはないから!ソルトを探しに来ただけだから!

誰に言うでもなく心の中で言い訳したシュガーは、むやみに動くよりはと近くの看板に身を潜めた。

「それで、えーと、なんて言うかね、わたしさぁ、あの……」

「キャンディの誕生日いつだったっけ?」

「え!?私!?私は来月だけど……」

「それじゃその時に、オレから何かプレゼントするよ」

「ほんと!?うれし――――!!」

「それじゃ」

振り返ったガナッシュは、入り口近くにある看板から見覚えのある帽子が飛び出ているのに気付く。バレバレだなと少し口元を緩めたが、伝えなければいけないことを思い出して引き締めた。

「あああ!ちょっと待って〜!まだ話あるんだけど〜!」

「ごめん。後にしてくれないか。学校に帰ってから聞くよ」

「あ、あうううううう。そうね……またあとでね……」

「プレゼントありがとう。大切にするよ」

「ん、んーん!気を使わなくていいの!気に入らなかったら捨ててね!」

その言葉に返すことなく看板に近寄ったガナッシュは、

「シュガー、話がある。海岸の方に来てくれ」

シュガーに一声かけるとそのまま歩き去った。


え!?普通ここで話しかける!?隠れてるのわかるじゃん!
…シュガーの心の叫びである。

シュガーは気まずげに看板から姿を現す。キャンディとばっちり視線が合ってしまった。

「…ごめん、聞くつもりはなかったんだけど…」

キャンディは自分の中に燻っているものが大きくなるのを感じた。またシュガー。…シュガーばっかり。キャンディの様子を伺うシュガーを、悪いけど、と突き放す。

「…今シュガーと話したくないの。一人にさせて…」

「…ごめんね」

そうしてシュガーは去り、キャンディだけが残された。









CreationDate:2008.08.23
ModificationDate:2015.05.02




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