Day2.07

海岸沿いを歩いていると、砂にキラキラと光った何かが落ちているのに気付いた。拾ってじっと見るシュガーの後ろから、シードルが声をかける。

「月の光に銀貨が照らされて光ってるね」

「シードル!……これって」

「きっと昔の文明が使ってたアルティ銀貨さ。こんなものが落ちてるから海賊伝説なんかが生まれたんだろうね」

「中身はまつぼっくりだったけどね」

「あははっ!がっかりだよ!……そういえば、森の方でオリーブが探してたよ」

「え?ホント?行ってみるね」

シードルと別れ、オリーブがいるだろう森へ足を進めた。森の中にはオリーブだけでなくショコラもおり、数羽の鳥と戯れている。シュガーが来たことを鳥に教えて貰ったのだろうオリーブが振り返ってシュガーを呼んだ。

「シュガー!ちょっと来て!」

「どうかしたの?」

「鳥の様子が少し変なの…。気のせいならいいけど、ちょっと気になって…」

「……何か起こるかもね…。オリーブ、気をつけて行動してね」

「……うん。シュガーも気をつけて」

「うん。……ところでソルト見なかった?さっきから居なくて」

「コテージの方に向かうのを見たって鳥が…」

「ありがとう」

そう言ってコテージに向かおうとしたシュガーをオリーブが呼び止める。

「…どうしたの?」

「…シュガーは知ってるのね」

「え」

ドキッと心臓が鳴った。

「前から思ってたの。貴女は私の行動に疑問を持たないでしょう?昨日もそう。ガナッシュと話してて貴女を見てなかった私が、いきなり名前を呼んで、おかしいと思わなかった?…今もよ。突然振り返ったのに、驚くこともなかった」

誤魔化そうとしたシュガーだが、オリーブの震えた手を目に入れて、口を閉じる。

オリーブは自分の特殊な体質を知られたくないはずだ。それを私に気付いてるだろうとはいえ、自分から言うのにどれだけ勇気を振り絞ったのだろう。…それなのに嘘をつこうとするのは最低だ。

「…オリーブが人の心を読めるのは知ってるよ。私の心の中が読めないのも知ってる」

「…、どうして、」

「……ごめんね、それだけは言えないの」

オリーブがシュガーの心を読めないとわかったのは簡単な話だ。オリーブはシュガーがこの先を分かっていること、彼女たちを元々知っていたことを知らなかったからである。


「…怖い?」









CreationDate:2008.08.23
ModificationDate:2015.05.02




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