Day2.04

「…消えた…」

唖然とシュガーが呟き、何とも言えない空気が辺りを支配する。

「へ、変なこというなよ!シュガー、ソルト!俺たちを怖がらせてるだけなんだろ!?ここまで来たんだ!さっさと宝みつけようぜ!」

その空気が読めないのはセサミだった。

「君ねぇ…」

「シードル、別にいい。ま、セサミの言う事も間違ってはないしな」

ソルトの言う『間違ってはない』のは『ここまで来たからには先に進もう』という意思のことだが、やはりセサミは勘違いしていた。

「なんだよー。やっぱり怖がらせてただけかよ!」

「なんだ!ほっとしたぜ!」

ちなみにキルシュもだ。

カシスとシードルは俄には信じがたいことではあるが、そんな馬鹿げた嘘をつく二人ではないことを知っているため、肯定はしなかったが否定もしなかった。






洞窟の奥に進み、宝箱を発見した。そのほとんどは蓋が開けられていたが、一番奥にある一つは蓋が閉まった状態で放置されている。

「見ろよ!!この宝箱!!中身はいってんじゃねぇの!?」

「待て、この変は誰でも入って来れるんだ。開けてみると、カラッポなんてこともあるぜ!」

「あれが海賊の宝〜!?ウソくさいなぁ〜」

「「どうせ中身はカラ、……」」
「お前真似すんなよ」
「別にしてねーよ」

「ほらほら、そこ、こんなとこまで来て喧嘩しないの。入ってても入って無くても、一応開けてみようよ?」



宝箱の中身はまつぼっくりだった。



「…………えー」

「まつぼっくり!?まつぼっくりかよ!!」

「ひゃっほー!!サイコーだぜ!セサミ!グレイト!!」

「ひゅ〜!!まつぼっくりだって!?リスかネズミにとってはすごい宝かも知れないけどね!」

「……つまんねー」



「なんで海賊の宝がまつぼっくりなんだよ!!アッタマきたッ!!やられたーッ!!……帰ろうぜ……。むなしい……」



セサミの言葉は珍しく空気を読んで、他五人の心情を的確に表したのであった。









CreationDate:2008.08.14
ModificationDate:2015.05.01




[ 4/18 ]
[ 21/79 ]
[Put a Bookmark]

 

 戻る
Top 



第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -