Day1.11

みんなが乗り込み、バスが発車する。校門は閉まっているが、バルサミコは車ごとぶつかり、門を壊しながら飛び出した。

「…『いつもこの時期になると何者かに校門を破壊される』…、ね」

「………」

シードルが横目でその発言をした本人をチラ見する。カシスはポツリと呟く隣からの視線を感じていたが、顔を向けることはなかった。





通常、旅行となるとガイドが付き、目的地の話をしたり近くの観光場所の説明をしたりするが、勿論のことこの旅行には付いていない。それぞれが好き勝手に行動するので、話す人もいれば、お菓子を食べる人もいた。

「ねぇ、アランシア。キルシュのこと、どう思ってる?」

「どう?……って幼馴染だけど…」

「小さい頃から一緒だと特別な感情ってないよね〜」

ゼン室で勘違いをしたままのキャンディがアランシアに話しかけ、セサミが小さく割り込む。

「キャンディ!バカ!ちがう!アニキはホントはお前の…」
「俺の話題はやめろー!!!!海だぜ!海に行くんだぜ!」



「…なんなの?」

「なんかキャンディ、キルシュがアランシアのことを好きだと思ってるのよ」

煩いキルシュを見て眉を潜めるシュガーに、ゼン室の一連をブルーベリーが説明する。 それが聞こえていた周りのクラスメートは、「不憫なやつだな」と生暖かい目でキルシュを見守った。
言うまでもなくシュガーとソルトは大笑いして不貞腐れたキルシュにちょっかいを出していた。



「ヘイヘイ、ガキんちょども!騒がしいのは何よりだが、そろそろ着くぜ!海が見えてきた!」









CreationDate:2008.08.10
ModificationDate:2015.04.28




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