Day1.10

所変わって、バスの中はキャンディから出る暗い雰囲気に満たされていた。
オリーブが戻って来てからの話である。



「あら、オリーブ、おかえりー」

マドレーヌが気付き、声をかける。
その言葉にキャンディは振り向いた。

「オリーブ!酷いじゃない!…あれ?ガナッシュは?」

「シュガーがいて、ガナッシュが先に行ってろって言ったから私だけ戻ってきちゃった」

「シュガー!?なんでぇ?」

「わかんない。シュガーも心配だったんじゃないのかな」

「でもなんでそれで一緒に来ないの?」

オリーブに問いただすキャンディ。
彼女はわかっているのだろうか。自分の顔が嫉妬で歪んでいることに。

「多分、話したかったんだと思う…シュガーと」

「……、…あっそう」

キャンディはそう言ったかと思うと自分の席に戻った。

「(…キャンディ…)」


なんでなんでなんでなんで!!!なんでシュガー!?私が話しかけても素っ気無いくせに!
ソルトと双子だからってだけで、ガナッシュとあんなに仲良くなれるの!?
どうしてガナッシュはシュガーにだけそんな顔するの!?
シュガーとは話が弾んでるし、遊んでるし。いつもいつも一緒に行動してずるいよ!

……シュガーは優しいし、頼りになるし、好きなのに…。今の私は憎んでる。嫉妬で、シュガーを疎んでる…。私って、こんなに嫉妬深かったっけ。

……醜かったっけ。


キャンディは俯いて、潤む目を涙が零れないようにぎゅっと瞑った。

「……」

それが見えていたのはソルトだけだった。彼の場所は、キャンディの横顔が角度的によく見える位置である。

「どうかしたか?」

「…別に。面倒だと思ってな」

「……?…あぁ」

カシスはソルトの位置に気づいて納得する。

「??何が?」

シードルは何もわかっていなかった。

「「……お前はいい」」

「何なの!?」





「遅れました!すいません!」

暫く経って、漸くシュガーがガナッシュをつれて戻ってきた。
大きな声でシュガーがバスへ乗り込む。
その後を追うようにガナッシュも乗り…、

「2人とも遅いわよ!時間おしちゃってるんだからねー。これでもう全員揃ったね?いない人いないね?……よし。もー。先生時間通りにつくか心配…」

「だーじょうぶだって!俺様の運転をなめんなよ!」

バスの運転手、バルサミコが吼えた。









CreationDate:2008.08.09
ModificationDate:2015.04.27




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