Day1.09

バスに行こうと促すオリーブに、ガナッシュは二人で話したいと言って先に行かせた。この場にはガナッシュとシュガーの二人だけだ。
最初に口を開いたのはガナッシュだった。

「シュガー…、」
「知ってる」

それを遮る。

「!」


「オリーブが人の心を読めることとか。ガナッシュの…お姉さんのこと、とか」

「…なんで…」

「ごめん。…入られたくないとこに入ってるくせに…ごめん。…まだ言えない。…ごめんなさい…」

「…そうか」

「ごめんね…」

何度も謝るシュガーは、傷付きながらも何かを我慢してるような…そんな辛い顔をしていて。
話してくれるまで何も聞かずにおこうとガナッシュは思った。





「…行くか」
「…うん」

2人はゆっくりとバスに足を向けて歩き出した。

「…ガナッシュの道はどこに繋がってるのかな」

突拍子もないシュガーの言葉に疑問を返す。

「…道?」
「うん、道。私たちの歩く道」

シュガーの言わんとすることは理解したが、何故行き成りそんな話をし出したのかはわからない。

「ひとりひとり道は違って、考え方も人それぞれだから、間違ってるとか正しいとか、一概には言えない」

けれどガナッシュは静かに聞いていた。

「自分では正しいと思ってても、他の人がみたら間違ってるって思うかもしれない。それでも自分の道は自分で見つけ出さないといけない。他の人がなんて言おうとも、自分の信じた道をいけばいい」

「…」

「…だからね」

「?」

「ガナッシュも、自分が正しいと思う道、自分が後悔しない道を選んでね」

「…?…ああ…」
「でも、私わがままだから」

「…え?」



「ガナッシュが正しいと思う道でも、"私にとって"正しくない道かもしれない。自分の信じた道をいけばいい、なんて言っても、私はわがままだから、きっと止める。

 …それだけは、覚えておいて」



「…」

「行こっか」

いつの間にか止まっていた足を動かす。
それからは無言で歩いていたがガナッシュは考えていた。


何故そのようなことを自分に言うのか。

そして、

彼女は何を、知っているのか。









CreationDate:2008.08.08
ModificationDate:2015.04.26




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