Episode4.17

学校に着いた六人は、教室に行く前にシュガーを寝かせるためにソルトの部屋に寄ることにした。
ペシュやカシス、シードルは自分達だけでも教室に行って無事な姿を見せた方が良いのでは、と提案したが、ソルトが一緒に来いと言って聞かないため着いていく。



「シュガーは敵に眠らされて連れていかれるところだったが、それを見つけた俺達が抵抗しているところにグラン・ドラジェが現れて解決した」

「え?」

寝室のベッドに寝かせながらソルトが口を開いた。確かに大まかに言えばこう言うことだが、ニュアンス的には語弊がある。

「そう言うことにしてくれ」

「それを言いたいから僕たちも連れてきたの?」

「ああ」

「なんで、「今思い出されちゃ困るんだよ」」

シードルが疑問を口にするのを遮る。

「思い出されちゃって、シュガーは…」

「今回の件は覚えてないはずだ」

「…最後に飲ました薬が原因か?」

「…そうだ。忘れさせた。魔法の暴走を止めるにはそれしかなかったからな」

頼むから、そう言うことにしておいてくれ。
そう呟くソルトに反論を口にできる者はいなかった。

「…わかりましたの。シュガーちゃんにも、みんなにもそう言えばいいんですのね」

「ああ」

ごそり、シュガーが小さく動く。

「…ソルト…?」

「目、覚めたか。体調は?」

「だいじょ、ぶ」

「何が起こったか覚えてるか?」

「…追いかけられて、追い詰められて、…わからない」

ソルトはそれを聞いて端からわかるぐらいに安堵の表情を浮かべた。そうして先ほど自分が言った言葉を繰り返す。

「…ごめんね、みんな。迷惑かけちゃって」

「気にするなって」

「ありがとう」

そう言って、またシュガーは目をつぶった。

「…寝たか。…話は終わりだ。俺は休むから、お前らは教室に行っていいぞ」

四人は部屋を出る。最後までシュガーを見ていたガナッシュには、シュガーの口がごめんねと動いたのに気付いていた。


そういえば、抱き上げて運んでいた時も。

閉じた目から流れた涙を思い出した。









CreationDate:2005.08.18
ModificationDate:2015.04.20




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