Episode4.14 「俺が運ぶよ」 それくらいじゃないと校長なんてできないか、と納得したカシスは、ソルトが運べないのであれば最年長の自分がするべきだろうと声をあげたが、 「却下」 ソルトに一蹴された。 「なんでだよ!」 「お前が運ぶのは腹立つ!」 「……」 あまりにもな言いように閉口する。 目の敵にされているのは、カシスがシュガーの虫になるのではと心配しているからだろうか。 このシスコン!と口には出さずに毒づいた。 「シードル」 「あ、ごめん、僕無理」 「なんでだよ!」 先ほどのカシスと同じ台詞をソルトが言う。 「毒魔法で体力消耗したから」 「役に立たねぇな!」 「うるさいよ!」 終わりそうもないやり取りに頭を抱えていたガナッシュは、大きい溜め息をつくとソルトの腕からシュガーを抱き上げた。 「俺が運ぶ。それでいいだろ」 文句を言いたいが、そうすると誰がシュガーを運ぶのかという問題が生じるために何も言えなくなったソルトが口を開く前に、ガナッシュはさっさと歩き出す。 ほらソルトも行くよ、とシードルが促し、四人も後に続いた。 青春じゃのう、と微笑ましく見ていたグラン・ドラジェは、彼らの背中が消えるまで見送ると、倒れている五人を引き連れてワープした。 「これは、グラン・ドラジェ様。王宮に来られるとは、如何なさいましたかな?…後ろにいる者達は…、!」 「国王に拝謁したいのじゃが」 「しょ、少々お待ち下さい!」 グラン・ドラジェが連れているのがナイトビュッフェのものだとわかると、大臣は急いで王様に面会の手続きを踏む。そう時間もかからずに奥の間へと通された。 「グラン・ドラジェ殿。そなたが連れておるのはうちに遣えるものと見えるのだが」 訝しげに宣う国王に、グラン・ドラジェはこれまでのことを説明する。 「そんな…!信じられん!」 「いいえ、全て吐きました」 マドレーヌが大臣と警備隊を伴って現れた。警備隊はラベンダーを取り押さえている。漸く目覚めたリーダー各の男は、自分の置かれている状況とラベンダーを見て全てを悟った。 「ナイトビュッフェ、お前は巫女を拐い、私利私欲のために利用しようとした。…認めるか」 「…認めます」 「…ナイトビュッフェ、 そなたら一族、全ての権限を剥奪する」 CreationDate:2005.08.18 ModificationDate:2015.04.19 [ 14/19 ] [ 54/59 ] [Put a Bookmark] ← 戻る |