Episode4.09

リーダー格の男は後ろから聞こえた声に、魔法を解こうとする手を止めて振り返った。

「シュガー!…てめぇ!そいつに何しやがった!」

「シュガーちゃん!!」

一番前にいるのが例のナイトか?
しかし五人も寄越すとは、ラベンダーめ、一体何をしているんだ。

男は面倒臭げに舌打ちをして五人と向かい合う。

「何って、交渉していただけだが」

「交渉?随分手荒な交渉だな」

「良い返事を貰えないものでね」

「だから、電気を?」

カシスが憤りで飛び出そうとする自身を抑えながら割り込んだ。
裏の世界に繋がりのあるカシスにはわかっていた。話し合いではない交渉の手段というものを。カシスはシュガーの髪の一部が逆立っているのを見つけ、断定した。

男はなにも言わず口の端を上げるとパチン指を鳴らす。
周りで控えていた男達が前に並ぶのを見るとシュガーの隣に下がった。

「さっさと終わらせろ」

「仰せの通りに」

「…足手まといになるなよ!」

「わかってる」

「ペシュは魔法の届かないとこに隠れときなよ」

「…でも、」

シードルの言葉に言い淀む。
確かに愛の大使であるペシュは攻撃魔法を持ち合わせていない。

けれど、自分だけ。

そんなペシュに、カシスはぽんと頭に手を置くとフォローした。

「全部終わったら回復頼んだぜ」

「…わかりましたの!シュガーちゃんの奪還、任せましたの!」




「ブラックホール」

ソルトの闇魔法が辺りを包む。

「…その歳でここまで使いこなすとは素晴らしい。だが、残念だな。データは収集済だ。我々に闇魔法は効かない」

闇のシールでも貼っているのか、確かに直撃した四人はそれほどダメージを受けてはいなそうだった。

面倒なことをしやがる。長くなりそうだな。

ソルトは光魔法へと切り替える。

弱点を狙った闇魔法が弱くなるのであれば、属性が関係ない光の方が攻撃力は高い。幸いこちら側には雷属性に弱いものはおらず、力の差もあまりない。順当に行けば勝てるはずだ。
ただ、シュガーの横に立っている男は桁違いの臭いがした。









CreationDate:2005.08.18
ModificationDate:2015.04.15




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