Episode4.07

学校を出て地図を見ながら歩いていたシュガーは蟠りを感じていた。やはりソルトに言っておいた方がよかった気がする。
けれど、シュガーには『心配性なのね』と微笑むラベンダーが続けた言葉が聞こえていた。
聞き返したシュガーにラベンダーは全く違うものを返したが、シュガーは確かに聞いていた。
ソルトが可哀想だと言ったのだ。シュガーがいるから自分を犠牲にしていると。反論できず、そうかもしれないと思う心の隙間に入り込んできた圧力に負けたシュガーは、言われるがままに出てきてしまった。

地図に描いてある通り、路地を曲がろうとしたところで後ろから付いてくる気配に気付く。人の気配というよりは魔力の気配だが。

雷が四人で、美が一人か。嫌な予感がする。

曲がるはずだった路地を真っ直ぐに過ぎると、後ろから薫る魔力が不安定に揺れた。
あれらの目的が自分であることを確信したシュガーは違う路地を曲がって走り出した。

五人がバタバタと足音を起てながら追いたてる。
土地の理は相手にあった。使ってくる魔法に応戦しながら逃げ続けるシュガーは誘導されていることに感付いていたが止まることはできない。

五人の足音が止んで、シュガーも足を止めた時には、袋小路に追い詰められていた。

「なかなか逃げてくれたな。地図通りに行けばよかったものを」

やはりラベンダーも仲間だったか。

「…ご用件は?」

「単刀直入に言おう。お前の力が欲しい」

「…どのような、理由で?」

「我が一族の繁栄のためだ」

「…嫌だと言ったら?」

「お前に拒否権はない」

リーダー格だろう男がそう告げた途端、後ろで控えていた男達から電撃が飛ぶ。

「アビス!」

シュガーも魔法を唱え応戦した。

雷は闇に吸収され、相手が反応する前に素早く全体魔法をかける。

「…ほう」

シュガーはウィルオウィスプで遊んでいたわけではない。元々の素質も相まってかなり成長している。
ただ、それを見越していたラベンダーが行った授業で力を使いすぎていた。









CreationDate:2005.08.18
ModificationDate:2015.04.13




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