Episode4.01

「おはようございます」

その日、教室のドアを開けてあいさつをしながら入ってきたのはマドレーヌではなかった。

「ラベンダーです。今日はマドレーヌ先生が大切な用があって居られないので、代わりに私がみんなの担当となりました。よろしくね」

ウィルオウィスプは生徒も教師の数も多い。中には顔すら見たこともない人がいるが、この先生も殆どが初対面だ。
知っているのはキルシュとピスタチオだけで、彼らが補習を受けた時に担当したのが彼女だったというだけのことである。

「早速魔法の練習をしましょう!
 フレイヴァさん、貴方の事は聞いてるから気兼ねなく練習してね」

「あ、ありがとうございます」

礼を言うシュガーににこりと笑ってから、ラベンダーは全体を見回しつつ話す。

「いいですか、みなさん。魔法はしっかり魔力を使わないと強くなれません。自分の限界ギリギリまで使うことでより強くなれます。
 それじゃあ始めて」





「チープトリックくん!しっかり集中して!」

「わかったヌ〜!…あの先生キビシイヌ〜…」

「補習の時は優しかったっぴ」

「メイプルウッドくんも!」

「はいだっぴー!」

少しの弛みを見付けては厳しくやり直しをさせる。シュガーやソルトも例外ではない。

シュガーは教えを聞きながら練習しているが、ソルトはどうも腑に落ちない気分だった。


どうも引っ掛かるな。
休み時間に校長の所に行ってみるか。


他の事を考えながらの魔法は不安定になるためラベンダーに注意されるところではあるが、真剣に見せつつ手を抜くのはソルトの得意技であったので気付かれなかった。

「フレイヴァさん、一つに絞らず、全体的にね」

「はい!」

「……」





「良くできました!それじゃあみなさん、休み時間にしましょう」

「やっとかよー…」

みんながヘトヘトになった頃、漸くラベンダーは休憩を言い渡した。









CreationDate:2005.08.15
ModificationDate:2015.04.10




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