Episode2.05.Side-L-

「カシスも左?…三人は右みたいだね」

シュガーはライトを付けながら、一人じゃなくてよかったと呟いた。



「暗いね」

「そうだな」

カシスは歩きながら考える。
それは試練というモノのこと。

そんなカシスを横目で見ながらシュガーが口を開いた。

「知は知識、勇は勇気…かな?」
「!」

「私の考えだけど、知は迷路もしくは知識を試される問題じゃない?勇は…勇気だと仮定すると」

「毒…あの本“珍毒植物”って書いてたぞ」

「じゃ…『それ』を試されるってわけかな?」

私の天敵だ。とシュガーがため息を吐く。

「毒って…麻痺とかか?」

「多分違う。麻痺とかは直せば終わり。勇気を試す事にならない。試せる物…嫌なものが見えたり」
「幻覚か!」

「多分ね。どうしよ」





「水だ」

やっとわかった。とでも言うようにカシスが発する。

「?」

「向こうが知で、こっちが勇。って事は、向こうには毒がねぇって事だろ?向こうに無くてこっちにあるもの。…水だ」

「なんで??」

「向こうは乾いてて、こっちは…」
「じめじめしてる!」

シュガーの言葉にカシスは正解!と指を鳴らした。

「でも…水がどう作用して毒になんのかがわかんねぇんだよなー」

「もし笹が粉を出せるんだったら…濡れると毒になるんじゃない?」


さっと心地良い風が流れる。その風に乗るように金色のキラキラとした物が流れてきた。


「「これだ!」」


ピチャン


間が悪く、鍾乳洞に垂れていた水が足元の水溜りに落ち、広く水が飛び散った。





 幻覚作用はーー
 貴方の記憶の中の弱点である。









CreationDate:2005.07.18
ModificationDate:2015.04.07




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