Episode2.02

次の日の朝、時間の10分前にはソルト以外の四人は校門の前に姿を見せていた。

「ソルトはまだか?」

「…一応起きてたけど、先行ってろって言われて」

「ソルトに早めに行くって概念はないよ」

「時間通りに来ることが珍しいだろ」

ガナッシュの呟きに、呆れた口調でそれぞれが答える。

「…そうだな」




時間が15分を過ぎて、漸くソルトが現れた。
「遅い」との文句に「準備してたから」と悪気も謝罪もなく答え、さっさと目的地に足を進めるソルト。
自分勝手な振るまいに、四人は顔を見合わせため息を吐いて後に続いた。



バスを乗り継ぎ、目標である田舎のバス停から見えた山を登り数十分。古めかしい洞窟にたどり着いた。
地図によると目的地はここらしい。

洞窟は暗く涼しく、どこからともなく水の落ちる音が聞こえる。

ソルトは持ってきた荷物を探り懐中電灯を二つ取り出すと、一つをシュガーに渡し洞窟に入っていった。

「この地図、ここまでの道は書いてるけど、洞窟の中と罠の事は何も書いてねぇんだよな」
どうする?と聞くソルトに

「危ないから帰った方がいいんじゃない?」
とシードル。

「馬鹿かお前!ここまで来て帰る馬鹿が何処に居る!!見つけるまで帰んねぇよ!!行くぞ!!」

「馬鹿馬鹿って…自分で決めるなら聞かないでよ!」

最もである。





特に危ない仕掛けもなく、二つの分かれ道に着いた。右の道は乾いていて、左の道は湿っている。分岐点に看板が立っていた。

「なにか書いてあるぞ」

「えー・・と」

“右に行く者は知の試練、左に行く者は勇の試練”

「どういうこと?」

シードルが読み終わると、ゴゴゴと何かが崩れる音がして洞窟が揺れた。

「「何!?」」

上から尖った鍾乳洞が天井と共に落ちてくる。この洞窟自体がからくりになっているようだ。心なしか鍾乳洞の先に服の切れ端がついているような気もしないでもない。

五人は顔を真っ青にさせ、急いでそれぞれ近くの道に避難した。





机の上で開かれた本が風で一枚捲れる。

『黄金の笹』
 希少な植物。
 今までに数本見つかっているが
 笹を持ち帰ることが出来た者はいない。

 願いをかけると叶うと言われているが
 古い文献のため真実は定かではない。

 金の粉だけを持ち帰った者の研究の結果
 金の粉には毒があることがわかり
 水に濡れると作用することが判明した。
 
 その作用は――









CreationDate:2005.07.07
ModificationDate:2015.04.07




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