Episode1.07

「まず一生付けててもおかしくないシンプルで尚且つ女性らしいデザイン、それに、会えなくてもその子が一族の一員であるという意味を込めて、月に翳した時に自分の家の紋章が浮かぶようにしてほしいっていう依頼なんだよね」

「会えないって?」

「普通に生活するなら、繋がりは断ち切る方が彼女のためだってことだろ」

「…それはどうなんだろうな」

「…まぁ、人それぞれだから。期限は、満月の日にあげたいってことで次の満月の日」

「次の満月…って明日じゃん!?」

「そうなんだよ…でも調べた感じ加工は出来るし、中で紋章を浮かべるのも出来るからそんなに時間はかからないと思う」

ただ問題が一つあるんだよね。とシュガーは言いづらそうにみんなから目を逸らした。

「問題…?」

「私、設計図や人の考え通りに作ることはできるんだけど」

「こいつ自分で考えるデザインセンス皆無なんだよ」

「…これに関しては、何かに似たデザインよりオリジナルがいいんだろうなぁ…って色々考えてたら寝てたわけです」

シュガーは不満げに口先を尖らしながらスケッチブックを捲る。どうやら考えてるのはピアスとネックレスらしく、ちらりと見えるそれはシュガーとソルトが言う様にありふれたデザインだった。

「これとこれ組み合わせたら品があっていいんじゃないか?」

「デザイン、よかったら手伝うよ」

カシスが図案を見ながら言うのにシードルが乗っかる。

「意外とカシスはそういう流行に強いし、僕もデザインなら描けるから、僕たちで考えれば良いの出来るかもしれない」

「えっ!…でも」

「困ったことがあれば頼れって言っただろ」

「…俺も手伝えることがあったら手伝うよ」

どうしよう。と困ったようにソルトに目配せすると、ソルトは当たり前かのように言い放った。


「手伝わせるつもりで、もう学校休むって連絡入れたけど」


「いつの間に!?」

「話聞きながら面倒くさそうだと思って」

「ソルトはシュガーの謙虚さを見習った方がいいよ」









CreationDate:2005.07.27
ModificationDate:2015.04.01




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