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荷物の移動が終わり、四人に礼を言う。三人は、また何かあったら頼ってくれ、と言いながら帰っていった。足りない誰かは皆様の想像通りである。

残りの作業を続け、全てが仕上がった頃には時計は夜中を回っていた。

風呂に入り、布団に潜る。夢を見た。





辺りは真っ赤で、倒れている子供が数人。
その真ん中に立っている女の子。
あれは小さい頃の私だ。

大人たちが悲鳴を上げて子供を助け起こす。

『私』を見る目は軽蔑と恐怖に満ちていた。

バケモノ、異端視、気持ち悪い

音の無い世界で、大人の口がそう動くのを読み取る。

『私』は一人の女をすがるように見上げるけれど、その女の目も周りと同じだった。
女の口が動く。音が聴こえる。

「アンタナンテウマナキャヨカッタ」





「…、」
夢から覚めた私の視界は歪んでいた。体の震えが止まらない。

気付けば私はソルトの部屋の前にいて、手は勝手にインターホンを押していた。

「なんだよ?」

夜中にも関わらずソルトは起きていた。

「ごめん、一緒に寝ていい?」
「はぁ?」

「嫌な夢見て」

上手く笑えてない私に眉根を寄せる。
溜め息を一つ吐いて何も言わずに私を部屋に入れてくれた。
なんだかんだソルトは優しい。…前から知っているけれど。




「どんな夢みたんだよ」

ベッドに横になりながら聞くソルトに夢の内容を話した。

「ただの夢にビビるとかガキかお前は」

「うるっさいなぁ。怖かったんだから仕方ないじゃん。ソルトには言われたくない!身長変わらない…いたたたたたごめんなさい」

私達のコンプレックスは身長である。でもその話出すだけでアイアンクローって。ソルトだって大人気ないじゃん!
そう考えて、恐怖心が消えていることを自覚した。わざと憎まれ口を叩いてくれたんだろう。(でも身長出した時のアレは本気だった)





女の子が子供を傷付けたらしくて、周りからバケモノって言われてた。ただそれだけだったんだけど、何か怖くてね。






アンタナンテウマナキャヨカッタ

見覚えのある女とその女の発言は、ソルトには伝えなかった。










CreationDate:2005.01.31
ModificationDate:2015.03.26




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