ミーハー | ナノ
些細な変化
怜香先輩と会って一ヶ月。俺と仙道さんがこちらにきて数ヶ月。
些細な変化というのはふとした時によく気がつくもので、俺がケーキを作ってる時にそれはわかった。
世界から拒絶されたような疎外感。俺と仙道さんに終始付き纏っていたあれが、少しずつ薄れてきている。もちろん、俺の気のせいかもしれないが…。でもこんなことを仙道さんに聞いても仕方がない。「まだンなことでウジッてンのかよ」と言われるだけだろう。現にあの人はまたストレートバスケに出かけてる。
話は変わるが、あの人がストレートバスケに出かけるとろくなことがない。まず必ずと言っていいほど騒動になる。まあ仙道さんが相手チームを挑発にするからだけど。でも俺は仙道さんとのプレーは楽しかったりする。やっぱり上手い人とするのは勉強になるし、仙道さんも、仲間意識かなんなのかわからないが、部活でパスをくれる辺り俺を認めてくれてるんだろう。
今は悩んだって仕方ない。勝手に振り込まれる金は気持ち悪いが…金にも衣食住にも困っていないし、仙道さんや怜香先輩を見てると悩んでる自分が馬鹿らしい。
PPPPP…
「!」
ふと、携帯が鳴った。ディスプレイには“仙道清春サマ”の文字。ちなみにあの人が勝手に入れて、俺も直していないのでそうなってる。別に俺がサマ付けで入れた訳ではない。
俺は生地にホイップ塗るのをやめて、電話に出た。
「…はい、なんスか」
『オイ!今すぐ来い!』
「え、いや、今すぐは無理っスよ。ホイップが今いい感じで…
『ンなのいつでも出来んダロ!早く来い!!』
ブチ…ツーツー
「…………」
ここで無視するのは簡単だ。でもここ数ヶ月で、仙道さんの性格は嫌になる程わかってる。
「…はあ…」
出来のいいホイップは上手くなればまた作れる。でも呼び出しを無視することにより発生するイタズラを回避するのは…つらい。一緒に住んでいるのだからイタズラのやりようは沢山ある。
俺はやりかけのケーキを涼しいとこに置き、出かける準備をした。
−−−
あー携帯はー
持ってたんです。
その描写、書き忘れちゃった