ミーハー | ナノ
特別な人
いつもと変わらない。そんな毎日。違うといえば、柳さんが疲れたような表情をしていたことぐらいだろう。また切原が何かしたのか。
放課後。いつもと同じように部活に俺と仙道さんはやってきた。
2対5の練習試合。
もちろん俺と仙道さんで1チーム。
仙道さんがボールを運んで、俺がシュート。仙道さんがそのままシュートを決めるときもあるけど。
俺のシュートが決まると、観客席から黄色い声が上がる。
練習を見に来ている女子だ。テニス部程ではないが、俺や仙道さんにも固定ファンはいるらしい。俺はあんまり興味ないから知らないが。
いつもと同じ声援。
でも今日は、一つだけ、俺の中で反響した。
「きゃー!なんてイケメン!!」
俺は反射的に向き直る。
観客席の最前列に、その人はいた。
「あ…」
思わず声が漏れた。
他の女子とは明らかに違うものを持っている。俺や仙道さん、この学校においてのテニス部と、似たような雰囲気。いや、むしろ…ヒトミ先輩に近いような、そんな特別な雰囲気だ。
仙道さんの方を見ると、仙道さんもその人を見ていた。あの人も何かを感じたのかもしれない。
俺は試合中なのも忘れて、その人に近づこうとしたが、仙道さんの方が早かった。
「オイ、オマエ…」
いつの間にか静かになった体育館で、仙道さんはその人に詰め寄った。
「おぉ…見れば見るほどかっこいいね!」
…………。
普通、第一声はそれだろうか…
俺は少し脱力感に苛まれながら、二人をみつめた。
「…何者だ?」
「ああ、私?えーと今日転校してきました、三年の秋津怜香でーす。以後御見知りおきを」
にっこりと笑うその人に、俺はヒトミ先輩を重ねた。
−−−−
まあ怜香ちゃんはこの話の主人公だし…うん。
ヒトミちゃんもゲームの主人公なんで
同じ雰囲気という意味