ミーハー | ナノ
「そこのオカッパイケメンさん、ちょっと良いかい?」
「氷帝3年、小森美佳です!精一杯頑張るのでよろしくね!」
「立海3年の秋津怜香でーす。言われた事はやるので、やってほしい事があったら言ってくださーい」
「…………」
二人のマネージャーは正反対だ。小森美佳が可愛い系だとすると、怜香は綺麗系。先程の自己紹介にしたって、小森美佳はやる気満々、怜香はただひたすらだるそうに話していた。今日から二日間はマネージャーを交換して練習するそうだ。…嫌な予感が当たらないと良いが…。
氷帝サイド
「うーん。困った」
はじめましてこんにちは、秋津怜香です。ここにきて初めての私視点だよ。まあそんな事はどーでもよくて…私は今悩んでます。それがさーちょっと聞いてよ!マネージャーの仕事にドリンク作りがあったら、ドリンク持ってったら…『お前みたいなミーハー女のドリンクなんて飲めねー』だってさ!ちなみに帽子のイケメンに言われたんだけど。じゃあどうすりゃいいのよ!別に氷帝レギュラー達がどーなろーと私に関係ない……いやあるな。私は全世界のイケメンの味方だし。それに私のせいで彼等が熱中症で倒れたら蓮二達にもとばっちりいきそうだし。むーそんな事になったら私が幸村君に怒られちゃうよ。それはやだな。
つーわけで、私は悩んでます。え?見にくい?ごめんね。
さてどうしたもんか。要するに私が作ってない事にすりゃあ良いんだよね。
ふむ。あ。よさ気な人発見!
「そこのオカッパイケメンさん、ちょっと良いかい?」
「は?」
私は氷帝レギュラージャージに身を包んだ、薄茶色の髪を持つ彼に話し掛けた。
テニスコート
「跡部さん、ドリンク持ってきました」
練習を始めてしばらくした頃、日吉がドリンクタンクを持って現れた。
「…立海のマネージャーはどうした」
「あの人ならタオルと宍戸さんのTシャツを干してますよ」
「………」
「跡部さん」
「アーン?」
「あの人、ただのミーハーじゃないですよ」
そう言った日吉は、いつもより心なしか笑っているように思えた。