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二つの願い事



「蓮二くん!今日が一体何の日か知ってるかい!?」

朝っぱらからテンションの高い怜香が部室に走り込んでくる。

「…7月7日。七夕だろう」
「YES!TANABATA!今日は彦星と織り姫が会うことを許された恋人たちの日よ!」

…お前恋人居ないだろう。

そう言ってやりたいが、両手を合わせ、空を見上げながらうっとりしている怜香に何を言っても無駄だと言うものだ。

「というわけで、私の家に笹ないから、蓮二の笹にこの短冊かけといて!」

………。お前は俺がこの歳になっているのに、俺の家に七夕の笹があると…?

押し付けるように短冊を渡し、怜香は「仙道くーん!橘くーん!」と言って出て行った。…バスケ部の朝練を見に行ったのだろう。

俺はため息の出たくなるのを抑えながら、あいつの短冊を見た。


[全世界のイケメンに会えますよーに]


「……………………はあ…」

長い長い沈黙の後に、俺の口からはため息が漏れた。破り棄ててやろうかと思ったその時に、短冊の裏面に目が行った。


[教授と博士がまたダブルスできますよーに]


「………」

俺はしばらく短冊を見つめ、そして鞄に入れた。



二つの願い事

貞治に連絡をとってみるか









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