ミーハー | ナノ
「銀髪って…いいね」
体育が終わって教室に戻ると、怜香が居なかった。
次の休み時間、怜香は少し悩んだ様子で帰ってきた。
「………」
あいつが悩み事なんて…何かあったのか?
何かを考え込む様に机から眼を離さない怜香。その様子は人生に迷っている人、そのものだ。
「怜香」
「……蓮二…」
「何か悩み事か?」
「蓮二…あのさ……」
神妙な顔をして俺をみる。
「銀髪って…いいね」
「……………………」
…少しでも心配した俺が馬鹿だった。
「いやーさっき更衣室から帰ってくる時に、道に迷っちゃってさーいつの間にか屋上に居たんだよねーそしたら銀髪のイケメンに会っちゃってさー」
銀髪…仁王か。
「ちょーイケメン!銀髪を生で見たの初めてだったから気後れしちゃって…写真取り忘れたの!悔しいなあもう!」
それで落ち込んでいたのか。
「あれ?蓮二、どうしたの?顔恐いけど」
「…自己嫌悪中だ」
「そんな!駄目よ!自分を攻めちゃ!何が原因か知らないけど!!」
…お前が原因だ。
相談乗るよ!Hey!とか言ってきた怜香を軽く流し、俺は静かにため息をついた。