短編 | ナノ



これが俺達のコミュニケーション





「あ゛ー つ゛ー い゛ー 」

あついあついあつい。熱すぎてびっくりする。あいつらマジよくこの炎天下テニスなんて出来んな。焼けるよ?溶けるよ?死んじゃうよ?というわけで、私は焼けるのも溶けるのも死ぬのも嫌なんで…

「今日の部活はこれで終わりだ!」
「んなわけあるかッ!!」

バシンと綺麗な音が私の頭からなる。私は叩いてきた本人を睨みつけ、言う。

「…よく考えようか跡部君。この炎天下、テニスやったら倒れるよ?焼けるよ?溶けるよ?死んじゃうのよ?…私は皆に死んで欲しくないわ!だから…
「発想の飛躍が芝居がかり過ぎてんだオメェは!いいから仕事しろ!!」
「チッ」

私は悪態をついて、すでに作ってあったドリンクを跡部に差し出す。

「きょうはーあーつーいーのでーちょっと濃いめーにー作ってーあーりーまーすぅ。お代わりはータンクにあるのでー飲んでーくーだーさーいー」
「…その口調で棒読みはやめろ、気持ちわりぃ」
「…………」

気持ちわるいってなにさ、仮にも女の子にむかってさ。

不意にサンサンと輝く太陽を見る。雲一つない快晴。真っ青な空はどこまでも透き通っている。

「…忌ま忌ましい太陽め…テカテカ光りやがってちくしょー暑いじゃねーか」

まあ私の口から出るのはこんな悪態何だけど。

「そんなに暑いなら部室入ってろ、クーラー入ってんじゃねーか」
「私だけ休むなんて出来るか」
「そうか」
「…何笑ってんのよ」
「気にすんな」
「………」

気にすんなって言われたら気になるのが人の性なんだけど…

「おい苗字」
「何」

跡部はまだ練習している部員達を見ながら話す。

「水分、とれよ」
「…跡部もね」
「適度に休め」
「…跡部もね」

お互いテニスコートを見つめたまま話す。懸命に練習に励む部員達。汗が光ってるのか知らないが、キラキラしてる。

「全国」
「うん」
「見てろよ」
「勝てるさ」
「当たり前だ」
「そうね。これだけ働いてんだから、優勝旗持たせてもらわないと割に合わないわねー」
「お前に持てんのか?かなり重いぜ?」
「持てるね絶対。お前あのドリンクタンク持ってみろ。女の子の持てる重さじゃないから」
「ハッ!女の子なんてどこに居やがんだ?」
「…………」

そういう跡部の顔を見るとニヤニヤと笑っていた。

「…このくそ坊ちゃまがあ…テニスラケットより重たいもん持てないくせにほざくな」
「ア゛ー ン゛?」
「重いものはぜーんぶ樺地君だもんね!流石景吾坊ちゃま!!」
「黙って聞いてりゃこの雌猫!!」
「−−−!!!」
「−−−!!?」


「なんや、さっきまでええ雰囲気やったのに。結局痴話喧嘩かいな」
「…仕方ないですよ、あの人達に常識求めても。俺は先程の雰囲気の方が信じられませんね」
「…言葉きついなー日吉は」
「いい加減面倒臭いんスよ」
「まあ…それは誰もが思ってる事なんやけど」

最早氷帝テニス部の名物になっている部長とマネージャーの口喧嘩。その内容は実に下らないものばかりで、飛び交う言葉も、大財閥の御曹司と淑女を育てる学校の女子生徒が使う言葉とは思えないモノばかり。


「そこまで言うならちゃんと優勝旗持たせてよ!坊ちゃま!!」
「当たりめぇだ!!」


「ま、あれがあの二人の愛情表現、なんやろな」




これが俺達のコミュニケーション

状況に慣れた部員達はその様子を微笑ましく見ています。




−−−−

紳士、淑女を育てる学校=氷帝。ということで笑
よくわかんない?いつもの事です。ごめんなさい。





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