微笑みの仮面劇 | ナノ



笑顔

爽やかな海風。
私は日傘をさしながら、浜辺で広大な海を見ていた。

あのあと自殺未遂がお父様にバレ、氷帝から転校せざるをえなかった私。まあ転校はしようと思ってたからいいんだけど。

海の近くがいいとただをこね、わざわざ千葉に別邸を作り、今はそこからこの学校に通ってる。あの時は自分がお嬢様だと久々に実感した。

「アサリを、アッサリ食べる…プッ」
「つまんない」
「……………」

急に現れ、目の前でダジャレを言ってきたのは新しいクラスメイト。なんでも私を笑わせたいらしい。

「ダビデ!!お前はまたくだらねーこと言いやがって!!!」
「ちょ!バネさんタン…ぐはっ!」

直ぐに飛んで来るのは、彼の先輩。

「すまねーな天宮」
「いえ、お気になさらず」
「チョークを超置く…プッ」
「つまんない」
「ダビデ!!」
「ダブルでぐはっ!!」

私はよく飽きないな、と感心した。

黒羽先輩が部活に戻ると、彼−天根君は私の隣でネタ帳とかかれた手帳を読んでいる。

「天根君は部活行かなくて良いの?」
「ああ、今日は潮干狩りだからな」

テニス部の活動に潮干狩りがあることにびっくりしつつも、

「天根君さ、よく飽きないね」

毎日毎日私にダジャレを言いに来る彼に、私はそう言った。

「お前こそ毎日海を見て、飽きないのか?」
「うん。ぼーっとしてるだけだし」
「ボートをぼーっと見る…プッ」
「つまんない」
「……そうか」

天根君は残念そうにネタ帳に書き込む。しばらくすると、天根君は顔をあげた。

「俺は、天宮の笑った顔が見たいんだ」
「教室では笑ってるじゃない」
「あれは上辺だけだ。俺が見たいのは心からの笑顔だ」
「ふーん」

笑い方なんて、忘れちゃったのに。

そんなこと考えながらぼーっと海を見る。
どこまでも続く水平線。この学校にきてから毎日見てる水平線。日焼け止め塗りたくって、日傘さして、私はただ海を見る。

広大な海なら、イカれた私のことを受け入れてくれるかもしれない。
そんな思いを抱いてる。


「優」


ふと、私を呼ぶ声がする。


ああ、この声は…


「お久しぶりです、景吾さん」


振り向けば、彼がいた。

東京からわざわざ千葉に、暇なのかしら?

私は立ち上がって、彼のところに向かうと、


「…いい笑顔だな」


すれ違い際に天根君がそう言った。


ああ、私いま笑ってるのか。

私にも、真奈美みたいな笑い方が出来たんだ。



微笑みの仮面劇

これにて閉幕いたします。




−−−


お疲れ様でした!
これにて[微笑みの仮面劇]完結となります。

テーマは“笑顔”
笑顔っていっぱいあると思います。周りを寄せつけない笑顔もあれば、悪巧みをするときの笑顔だってある。

優ちゃんにはいっぱい笑っていただきました。病んでます。

空気のキャラが多過ぎますね←

滝さんとジロちゃんはうん。天宮家の使用人達は、レギュラーを中心に写真を撮ってて、滝さん達は姫川愛美を中心に撮ってたんですよ、実は。書けって言うね。

ちなみに姫川愛美はあのあと精神科に連れていかれました。トリッパーですからちょっとズレているんです。レギュラー達は跡部さんと日吉君にしごかれて頑張ってます。多分。

最後、優ちゃんの転校先は六角なんですが、六角は仲良しですよね。優ちゃんには仲間が必要だと思ったんで。おじぃと一緒にお茶すするだけのマネージャーにでもなればいいと思います。

さて
ここを見ている全ての皆さん、ご観覧ありがとうございました!これからも空輝ともども、のり子をよろしくお願いします!


のり子

11.07.18−11.08.11






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