微笑みの仮面劇 | ナノ



畏怖



『どうして…!?なんで天宮を虐めないのよ!?』
『…無理よ、天宮さんは敵に回せない。家の大切な取引先よ?父にも念を押されたわ』
『…私のことを虐めてるのに?』
『それは…』
『……………もういいわ』
『愛美…』

『あなた、もう要らない』


思い出すのは、昼休みの屋上での会話。

みんな意気地無し。それでも友達?せっかく友達にしてあげたのに。モブキャラにも優しくしてあげたのに。イライラする。

『笑っててあげる』

彼女にドリンクをかけられたとき、怖くて、自然と叫んでた。笑ってた。彼女は笑ってた。状況を楽しむように、笑ってた。

レギュラーに殴られても、彼女はいつも笑ってた。しばらくすると、涼しい顔して戻ってきた。汚れた制服も綺麗になり、顔の傷もなくなってる。


怖い。


彼女が殴られてると安心する。


でも怖い。


だって、

だって…


殴られながらも

彼女はいつだって



笑ってた



〔ヒロインの畏怖〕






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