微笑みの仮面劇 | ナノ
憂鬱
開幕から一週間。
私は、殴られ、蹴られ、蔑まれた。身体のあちこちには色とりどりの、痣。ああ…綺麗。
でも足りない。
クラスメイトにああ言ったのがいけなかったのか、私に一般生徒からの呼び出しはなかった。
つまらない。
薄暗い部屋の真ん中で寝そべりながら辺りを見る。飾ってあるのはボロボロの制服達。明日着るのは何着目だろう?
でも足りない。
姫川愛美はよく動いてくれた。初日のドリンク以外の自作自演。頑張るねぇ。まあ私はそんな幼稚なことしないよ。
手の中にあるのは、様々な写真。写っているのは、私と、レギュラーと、姫川愛美。よく撮れてる。ボイスレコーダーを再生すれば、耳障りな声が聞こえてくる。うん、よく録れてる。
でも足りない。
いっそ私から動こうか。いや、それじゃあ駄目だな。完全な悪者に私がなるわけにはいかない。
ああつまらない。
明日また学校に行けば、忍足さん達は私のこと殴るのかな?予定通り過ぎてつまらない。もっとこっちが考えなかったことをしてほしいのに。シナリオを全て崩されるのは困るけど、シナリオ通りでもつまらないな。ああそろそろ、
「潮時、か」
〔監督の憂鬱〕