鉄 | ナノ


1




ハートの海賊団の副船長は、ちょっと変わっている。

表情筋が死んでいるのか、嬉しい時も怒っている時もまるで顔が変わらない副船長。発言は最小限、ローの言葉には基本的に肯定をし、喧嘩の時だけ俊敏に突っ込んでいくソレ。傷だらけになっても、目が覚めたら治るが口癖で、いつもみんなに怒られていた。
そして、ペンギンは唐突に気がついた。

「お、お前!女だったのか!?」

おそろいのつなぎを上半身脱ぎ、薄着になったフネの少し膨らんだ横乳を見た時だった。
幼い時から寝食を共にしてきたペンギンたちは、一緒に風呂も入っていたし、フネの裸も見ていた。そう、男のシンボルは確かに確認していなかったが、女が全身に怪我を作り、上半身脱いで治療をしょっちゅう受けるなんて考えもしなかった。
フネはいつもの無表情に、少しだけキョトンとしたような間を持たせてから、知らなかったのか?といった。一緒にいた誰もが知らなかった。もちろんローもだ。今までの行動に本人は、「医療行為だし気にしていない、お風呂も節約になってたし」と、なんともない顔でのたまった。
その場にいたいわゆる旗揚げ組とも呼ばれる4人は、全員で顔を見合わせ、一つ頷いた。

ーーこいつは、一人にしちゃいけない。

それからハートの海賊団が大きくなった今も、副船長として据えられたフネは目を離してはいけない要注意人物として全員からマークされている。


top


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -