海寮 | ナノ



V



入学式の会場である鏡の間に着くと、同じ式典服に身を包んだアズール・アーシェングロットが私を出迎えた。
「ロックウェールさん、お待ちしてましたよ」
「まだ開始まで2分もあるじゃないか」
「寮生はあなた以外全員そろっています」
「珊瑚ちゃんおそーい」
「今日はサボっていないのか、リーチもう片方」
「フロイドですよ。そして僕はジェイドです」
「知ってる」
この二人に囲まれると壁だ。190オーバーは首が疲れるから顔すら見ない。小生意気な後輩にため息をつく。
ふと少し視線を感じ、軽く見上げれば、アーシェングロットと目があった。
「なんだ。私の顔に何かついているか」
「…いえ、なんでもありません」
フイと視線を外され、位置につきますよと促された。なんなんだ。

例年通り、厳かに始まり厳かに終わる筈だった入学式。
それは遅れてきた一人の新入生と一匹によって崩された。

該当する寮がないどころか、魔力もない新入生に、火を吐く猫のような喋る小動物。内申稼ぎと揶揄されるが、アーシェングロットが捕獲をかって出る。ローズハートと共に小動物を追いかけていった。
「誰か俺のケツの火ぃ!!」
「アジーム、わかったって」
マジカルペンを向け、
『ーーーーーー』
自身のユニーク魔法でアジームの火を消した。
「おぉ!ありがとうなリタ!」

しばらくして、小動物は2名の寮長に捕らえられ、学園の外に放たれたという。
「ではこれにて入学式を終わります!新入生は各寮長に従って寮に向かってください!あぁ、ユウさんは私と図書館にいきましょう」
学園長の言葉と共に解散となった。
「オクタヴィネル寮の皆さん、僕についてきてください!」
アーシェングロットの声が高らかに響いた。




top


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -