ナイフ | ナノ


III



「…偽物だ」
「なっ!」

任務で日本に行っていたスクアーロが持ってかえってきた指輪?は偽物だったらしい。何故ボスを継ぐのに指輪がいるんだろ。そしてなんでその指輪がイタリアじゃなくて日本にあるんだろ。わからん。

「日本だ。支度しろ」
「畏まりました」

出発は一時間後。仰々しく頭を垂れて部屋を出て、廊下を一気に駆け出した。さっきスクアーロの頭に当たったウィスキーの絨毯染み抜きを召使に頼んて、それからザンザスの荷物をまとめなければ。…あぁ何故私がこんなことまで。そんなことは簡単だ。やらなきゃ死ぬから、それだけ。


別に来いとは言われなかったからてっきりイタリアに留守番と思っていたが、襟首を捕まれヴァリアー所有のジェット機に放り込まれた。まあ一部の隊員に私は良く思われていないから残されたら残されたで死んでいたので良しとしよう。でもこの空気は少々キツイ。

「俺は貴様を認めていない」

はいそうですね。としか言いようがない。幹部しかいない空間に一般人上がりの雑用係が一人。イジメだ。しかも一部の幹部、とくに雷の幹部レビィ=ア=タンは私の事が大っ嫌いだ。ボスであるザンザスを崇拝しているからポッと出の、しかも実力のない私が気に食わないんだろう。わかるわかる。私もその立場なら気に食わないもの。

「私のことはお気になさらず。ザンザス様にすぐかっ消される命にございますから」
「でもそう言って一ヶ月くらい経つわねぇ。ボスのお付きがそんなに長くもつのも珍しいわ」
「しししっ変態嫉妬かよ。きもー」
「黙れベルフェゴール!!」
「何王子に命令してんの?殺してぇー」
「お゙いぃ!やめろ」

…相変わらず騒がしい。しかも至るところに死の危険がある。ナイフに雷、火薬…ジェット機の中なのに飛び交っている。

『てめぇにやる』
『…これは、ナイフ、ですか』

しかも二つ…

『それ持って今からこの部屋行ってこい』
『、ザンザス様…これどう見ても訓練所、』
『表の人間に殺しは要求しねぇ。だが、足手まといは死ぬだけだ』
『……………』

人間、死に物狂いでやれば何でも出来るものだ。一般隊員くらいの攻撃なら見切れるようになった。幹部は無理だが。

この一ヶ月で私は本当に変わった。生きることに必死過ぎて本来ならいらないスキルばかり身についていく。自分がどんどん裏の人間になっていくのがわかる。

「ねぇ」
「、マーモン様何か御用ですか?」

怒涛過ぎる一ヶ月を振り返っていると目の前にフードを被った赤ん坊が浮かんでる。この赤ん坊も初めて見たとき驚いたな。

「喉が渇いたよ。飲み物を貰えるかい?」
「ではレモネードをお持ちします」
「至急ね」
「おいワンコ、王子にもな」
「私にもお願ーい」
「では皆様には紅茶を。全員分ご用意致しますのでしばらくお待ち下さい」

何故私がこんなことを。その答えは至って簡単。やらなきゃ死ぬから。でもワンコ呼びは無いわ。


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