ナイフ | ナノ


指輪編での幹部



※会話文中心



「…………」

「お帰りなさいボス。…あら?その子は?」
「拾いものだ」
「そう」
「これに合う隊服と、イタリア語の本を用意しろ」
「え?…あ、ちょっとボスー?」

「行っちゃったわ」
「オカマーあの女何?」
「一般人みたいだね」
「さあ?拾いものですって。ベルちゃんと同い年くらいじゃない?」
「ふーん。弱そー」
「とりあえず私は頼まれたもの届けて来るわ」

「おい!ボスに担がれて居たあの女はなんだ!!」
「あ。うるせーの来た」
「ボスの拾いものだってさ。それよりレビィ、ツケが溜まっているよ」
「今はそんなものより重大な、
「金より重大なものなんてないよ。それに怪しい女だったらスクアーロが言うだろうし、見るからに一般人さ。気に入らないなら殺せばいいだろ?」
「ぐっ…」





「うししっ」
「随分機嫌が良いね、ベル」
「まあな」
「さっき、ボスの拾った女が隊員の死体片付けてたのと何か関係があるのかい?」
「ししっ!あの女まだ生きてるんだぜ?」
「レビィが執務室に行く度に不機嫌だもんね」
「あの時騒いだら殺したのに」
「したたかじゃないか。どうすれば生き残れるか知ってるんだね」
「意外としぶといけど、ボスも何考えてんだろうなー」
「さあね」





※機内、レモネード及び紅茶製作中

「それにしてもあの子長いわねー」
「もうすぐ一ヶ月経つからなぁ…」
「そういえばスクちゃんこの間あの子と話してたじゃない。何話してたの?」
「クソボスの肉についてだぁ…ここ数日ラムだったからフィレが来るだと」
「あら、その予想当たるの?」
「少なくとも他の奴らより当てになるなぁ」
「へーワンコの意外な特技じゃん」
「この空間で生きてること自体、一般人にしたらすごいことだけどね」
「もう一般人じゃないと思うけど…。あ、そういえばベルちゃん。ワンコって?」
「ボスの後ろばっかついてまわるし、言いなりだし、犬じゃん。だからワンコ」

「では俺もか!」

「…ないわぁ」
「ねぇな゙ぁ…」
「キモ」
「慰謝料はこの口座ね」

「……………」




「…ゆき」

ただの、雑用係。何も出来ない、一般人。

そんな奴が…ガキんちょにナイフで向かってった。

俺も、マーモンも諦めたあの状況で、ワンコは一人牙を剥く。俺とマーモンは存在すら忘れてたし、センサーから抜け出したとこを間近で見てたスクアーロですら忘れてた。

『10代目!』
『ツナ!!』

気配なく走り出して、ナイフを構える。素人に毛が生えたレベルの動きなのに、思わず魅入った。ガキ共に弾かれてもワンコは止まらない。

『…っうぁ』

雨のガキに気絶させられ、ガキんちょに支えられる。

ふと聞こえた、ボスの声。

…ゆき?
あいつ、ゆきって言うんだ。

結果だけ見れば、何もしてない。失敗に終わってる。でも、

「すげーじゃん、あいつ」
「だね」

俺らと同じものに取り付かれたあの目に、初めて興味と好感を抱いた。

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