副会長 | ナノ



観察の日々



『なりてぇ奴なんてマジでいたのか!?』
『………』

不知火さんに副会長になりたいと告げて、そう言われたのがいい思い出になってきた6月。私は持ち前の事務処理能力を生かし、副会長の…いや訂正。生徒会の仕事をこなしていった。

とりあえず会長は仕事をしない。不知火さんもしない。天霧さんは会長の暴走を止めるべく頑張っていてそれ所じゃない。…そもそも応援団長ってなんだろう?…これでよく生徒会が成り立っていたものだ

でもまあ副会長になって良いこともある。土方先生をはじめ、原田先生に永倉先生、保健室の山南先生から校長の近藤先生まで、幅広い先生方と仲良くなった。それと各委員会の委員長、風紀委員長の斎藤先輩や保健委員長の山崎先輩達とも仲良くなった。

ただ、私と会うたび…

『がんばれよ』
『辛かったら俺に言え』
『大変だろうがやるだけやるのが誠意というものだ』

とか言うのはやめてほしい。

副会長になっただけなのにここまで心配される私。原因はやっぱり風間会長。

私は生徒会の仕事をしながら会長を観察することにした。



6月◎日(△)
風間会長
無理矢理用事を作って一年の教室に顔を出す。

6月〇日(×)
風間会長
生徒会議に欠席して斎藤風紀委員長に怒られる。でも気にしてない。

6月%日(¥)

クラスメイトの千鶴ちゃんから会長の苦情を聞いた。

6月#日(*)
風間会長
一年の南雲君から妹に手を出すなと睨まれる。



観察を続けて、わかったことがある。会長は雪村千鶴ちゃんの事が好きらしい。…それも熱狂的に。でも厄介な事に、千鶴ちゃんはこの学園のアイドル的存在で、土方先生をはじめとした先生方、斎藤先輩をはじめとした先輩方や、藤堂君をはじめとした生徒達からも好意を持たれている。素晴らしく敵が多い。

だからかは知らないが…会長は、元々しなかった仕事をさらにほっぽり出して、千鶴ちゃんに絡んでるようだ。…積極的になり過ぎてひかれてるのに気づいてない所がかわいそうである。

ああそうそう、観察してわかったことはまだある。

どうやら私は会長の事が好きになってしまったらしい。俺様で傲慢な所も可愛く見えてきたし、生徒会の仕事を全くしなくても、むしろさせたくないとも思い始めた。…自分で言うけど、重症だと思う。


ガチャ

あ。

「お疲れ様です、会長」

そんな事を思ってるうちに会長が帰ってきた。お茶をいれなくては…

「お茶、置いときます」

生徒会室のソファーにどっかりと座る会長の前にお茶を起き、席に戻る。

「会長、机の上に会長の印鑑のいるものがあるので明日までに目を通しておいてください」
「ああ」

相変わらずの素っ気ない返事。でも普通の人には返事すらしないと思うとうれしく思う。…ああ重症だな。

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