食料や必要な物を確保する為にハートの海賊団の潜水艇"ポーラータング"は海上に姿を現し、人目に着かない岸に上陸する準備がはじまる。
テキパキとした働きでスムーズに上陸することが出来た。

「ペンギン」

「なんですか?」

「お前は食料調達して来い」

財布役でもあるペンギンに任せることは間違いではない、だが、毎度毎度と食料調達を頼まれる身にもなってほしいというのが本音ではあるが、自分の身が大切なペンギンはその言葉を口にすることはなく、「あいあい、船長」とビシッと敬礼した。

船番以外の船員は皆、街へ繰り出した。
食料調達さえなければ、シャチと馬鹿しながら酒屋で酒でも飲んで騒いでいただろう…、今回は今にも、底をつきそうな食料の調達は必須であり、生きる為には確実に優先されることだった。


「…はぁぁあ、船長の出費をどうにかすればもう少し買えるんだがな」

素早く必要なものだけを選別して購入するペンギンの周りには袋が大量に置かれていた。
休憩がてらにツナギのポケットから煙草を取り出しライターで火をつけ、フゥーっと煙を吐き出し煙草を銜える。

「やあ、マドモアゼル」

聞き覚えのある声とともに、まだ銜え始めたばかりの煙草がするりと彼の手に攫われていく。

「ハーメルン!どうして俺がいる場所に悉く現れるんだ」

「身体に悪いよ」

「話を聞け!それに偶にしか吸わないからいいんだ」

この男と居ると彼のペースに乗せられている気にしかならなくて少し気に入らない。
ほぼ、吸っていないであろう煙草はルマンドの手にあり、ペンギンが吸ったそれを自身の口で銜えた。

「それにしても、多い荷物だねェ」

「はぁぁ…、これくらいの荷物なら問題ない」

横目で食料が入った袋を見る彼はフゥーっと白い煙を口から吐くと煙草を地面に捨て火を消した。

「マドモアゼルの為なら手伝おうか?」

「いや、いい…」

「遠慮しなくても、お小遣いもあげるよ」

「それは自分のために使え!!」

「怒る姿も本当に、可愛いねえ」

きっと、反応を面白がっているのであろう、頭が痛くなってきたペンギンは帽子越しに頭を触った。
この一般人は自分の何が良いのか理解することは一生かかっても出来ないだろう。だって、俺はそんな魅力もなければ貢がれるには相応しくないのだから。

「とりあえず資金はいらねぇ」

「それは、ザンネン」

「残念なんて思ってもないだろ?」

そんなことないよ?と言う彼をあまり信用出来なかった。一服すれば船に戻るはずだったペンギンの予定はかなり狂いつつあった、彼、ルマンドと話すだけで時間の消費が激しい。さらには、怒鳴ってばかりの自分の体力もどんどん消費していく。

「俺はもう船に戻るよ」

「早いね、と言ってもおれももうすぐ迎えが来るところだ」

迎え?と疑問に思う。すると、何を考えているか分かっているような顔で付け足すように青い鳥が迎えにくるんだ。

「はぁ?冗談は程々にしろよ」

ペンギンの帽子のつばを指で持ち上げ顔を見ながら

「次もどこかで会おうね」

笑った。
そして、食料の入った袋には見慣れた麻袋が置いてあることに気づくのはまだ先。


(…また、ハーメルンが金置いていきやがった!!)
(俺も貢がれて〜、ベポもそう思うだろ?)
(え?相手は男だよ?)



『彼岸花』の甘柚様が相互記念に本性を暴け!主のお話を書いてくださいました!
心に染み渡るような温かい空気感と相合煙管ネタ、夢主らしさも的確に拾っていただいていて感激です。


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