4−1
かつて私はファングと年が近い事もあっていろいろと語り合っていた。

ヴァニラの明るさには最初戸惑っていたが助けられた事もあった。

出来る事ならばあいつらも目覚めてまた話ができたらいいと思う。

いつになるかは分からないが…




「失礼します」

突然ドアの向こうから声が聞こえブザーと共にドアが開いた。

そしてドアを開いた人物を見て私は思いっきり顔を引きつらせた

「ああ、やっと会えましたね。ファロンさん」

レイの手が髪に触れて私は身震いする

「触るな」

これでもかという位の勢いで手を振り払って私は距離を保った

「どうした、レイ、お前は今別のミッションに出ているはずだが…」

「ついさっき完了して、戻ってきたんですよ」

「そうか…」

「じゃあ今日はもう帰っていいぞ。ご苦労さんだった」

リグディが家に戻るように進め私は息をついた

ここで安心した私が迂闊だったのだ


「お前も今日は良いや。

休め休め。ミッションの参加は当分ないだろうな。

お前はあくまで俺の警護だ。と言っても表に出るときだけだけどな」

リグディに促されて私も少し時間を置いてから部屋に戻る。

ロックを解除し部屋に足を踏み入れれば何か妙な感覚を覚えた。

何かが変わっている。

家具などの配置は以前のままなのだが何かが以前と異なっている気がする。

…気のせいか…

私は自分の部屋に不信感を覚えながらも薄手の格好に着替えた。

まだかすかにホープの匂いが残るベッドに身を投げ出せばなんとも言えない熱い感覚に顔を赤らめる。

まさか自分が現実のホープのシャツをつかんで離さなかったなんて…

これが私の本心なのだろうか…

寝返りをうったところで私は何か光るものをベッドの近くで見つけて手に取る

「腕時計…」

手に取ったものは腕時計で、それはいつもホープが身につけているものだと思い出す。

忘れて落としていったか…


大切なものだったらなくして困るだろうと思い私はコミュ二ケーターから

『腕時計を忘れていかなかったか?都合の付く時に取りに来い』

とメールを打てば、授業中の時間帯だから後で気付くだろうと思っていたのにすぐに返信はかえってきた

『良かった。無くしてたかと思って探していたんです。

父からもらった大切なものなので、今日の夕方にでも取りに行きます』

『了解した。家で待ってる』

そう送り返して私は端末を閉じた。



ベッドから起き上がりキッチンに向かう。

冷蔵庫から残り少ないミネラルウォーターを取り出してコップに注ぐ。

冷たい水がのどを通るのを感じ、一気にそれを飲み干す。

自宅という事であまりにも警戒心が無かった
私はそこで異変に気付いた

…何かが…おかし…い…?

それと同じく窓からリビングに侵入してきた人間の姿を確認して私は絶望した。

「どうしましたか?ファロンさん?」

「くっ…お前の仕業か…」

「何のことでしょう?僕は何もしてはいませんよ。何もね」

手首をつかまれて私はありとあらゆる部屋の物を使って抵抗した。

食器の割れる音が響く。それでも抵抗を続けた。

だんだんと急激な眠気と体のだるさに翻弄されて私はその場に倒れこむ

眠い。体が動かない。

この感覚は睡眠薬の類だ。医者にもらって飲まされたことがある。


男の怪しい笑みをにらみつけた所で私は意識を失った



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