12-6
Side:Lightning



―ここはどこだ?


気がつくと白い世界にたった一人でいた。


―私は何をしていたんだっけ?


風も音も物も何も無い世界。ただ白い


―なんだか眠くなってきた


ここは凄く心地が良い。

少し眠ろうか


その場に座りうとうとしていると遠くに人影を見つけた


どこか見覚えのある少し薄い銀髪をした女性。

白い洋服を身にまとい、赤ん坊を大切そうに抱いている



―貴女は誰だ?


女性は何も答えない。


―この子は誰?


女性は何も答えず私の手を取る


―私はこれからどうすれば…?


私の問いかけに女性はゆっくりと口を開いた


『あなたはまだここに来ちゃいけない。』


大事そうに抱いていた子を私の腕にしっかりと抱かせる。


赤ちゃんは温かく、何故だか放してはいけない、そんな気がした。


『この子を連れてもどりなさい。「母は強し」よ。』


女性は私の背中を押すとフッと微笑むとゆっくりと消えていった。


見覚えのある瞳の色。

どこか見覚えのある笑顔。




『あの子を…お願い…』





―私はここで眠ってはならない、私はまだここにきてはならない。



どこかで名前を呼ぶ声がした


…エクレール…


愛しい人が泣いている。


―戻らなければ…






白い世界にだんだんと鮮やかな色が差し込んでくる。


私は色のある方へと走り出す。



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