―ここはどこだ?
気がつくと白い世界にたった一人でいた。
―私は何をしていたんだっけ?
風も音も物も何も無い世界。ただ白い
―なんだか眠くなってきた
ここは凄く心地が良い。
少し眠ろうか
その場に座りうとうとしていると遠くに人影を見つけた
どこか見覚えのある少し薄い銀髪をした女性。
白い洋服を身にまとい、赤ん坊を大切そうに抱いている
―貴女は誰だ?
女性は何も答えない。
―この子は誰?
女性は何も答えず私の手を取る
―私はこれからどうすれば…?
私の問いかけに女性はゆっくりと口を開いた
『あなたはまだここに来ちゃいけない。』
大事そうに抱いていた子を私の腕にしっかりと抱かせる。
赤ちゃんは温かく、何故だか放してはいけない、そんな気がした。
『この子を連れてもどりなさい。「母は強し」よ。』
女性は私の背中を押すとフッと微笑むとゆっくりと消えていった。
見覚えのある瞳の色。
どこか見覚えのある笑顔。
『あの子を…お願い…』
―私はここで眠ってはならない、私はまだここにきてはならない。
どこかで名前を呼ぶ声がした
…エクレール…
愛しい人が泣いている。
―戻らなければ…
白い世界にだんだんと鮮やかな色が差し込んでくる。
私は色のある方へと走り出す。
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