12-5
暫くしてまたドアが開き医者が出てきた


「―午前2時32分ご臨終です。


極めて早産でした。

最善を尽くしましたが…残念ながら…」


「何かの間違いだ!死ぬなんてそんなはず…」


「………」


「そんな…ウソだ…ライトさんが死ぬなんて…

ありえない…ウソだ…ウソだ」


どうして…?

どうしてこうなるの…?


僕はただ…ライトさんを幸せにしてあげたかっただけだよ?


我慢できなくなった涙が一気に流れた


「ウソだ!ウソだぁぁぁあああああっ!!!」


何も考えずライトさんのもとに駆け寄る。


止める人などはいなかった。


眠るように安らかな顔でベッドに横たわっている


「まだこんなに温かいじゃないですか…ライトさん!

寝てる場合じゃないです!

隣で僕達の子がまだ頑張っているんです!

だから目を開けてください!ライトさん!」


僕はライトニングの胸元に手を置き心臓マッサージをする


「ライトさん!死んじゃダメだ!目を開けてよ!ライトさん!」


こぼれた僕の涙がライトニングの頬を伝う


「やめてあげてください…彼女はもう!」


看護婦らしき人が僕の動きを止める


「まだライトさんはっ!」


人がくるったようにその手を払い僕は無我夢中で心臓マッサージを繰り返す


「ライトさん!一緒に名前を考えようって約束

したじゃないですか!

授業参観に行きたいって言ってたじゃないですか!

まだ抱っこもしてないのに…」



「………」



ライトニングからの反応は無い。


僕と、ライトさんと、赤ちゃんで暮らす、

ずっと夢見ていた景色が崩れていく―


『僕が幸せにするって約束したのに…

2人と赤ちゃんで温かい家族を作るんじゃないんですか!?

ずっと一緒にいるって…言ったのに、

あなたは約束を破るんですか!?

そんなのダメです!

また僕を一人にする気ですか!?

死んだらダメだ!嫌だ!嫌だぁああああ!』



僕は本当に幸せにしたかっただけなんだ。


ライトさんがいてくれるだけでいい。



僕はライトさんとの未来だけを夢見て過ごしてきたんですよ?


14才、あなたに恋したあの日から


ずっとあなたが愛しくて…僕はあなたのことばかり考えて。


結婚して子供が生まれて、沢山思い出作って、

幸せだね、って笑って…

時には喧嘩して、仲直りして、

おばあさんとおじいさんになるまでずっと一緒にいる…

これから楽しい未来が待っているはずだったじゃないですか…


涙と汗が浮かんでは落ち浮かんでは落ち、シーツにしみを作っていく。

心臓マッサージをする手を伝い彼女の胸へ。




『戻ってこいっ!エクレール!!!』



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