12-3
数ヵ月後

僕の家は残したまま ライトニングの家に僕が住み始めた。

子供が生まれて少しして落ち着いたらマンシ

ョンから僕の家に引っ越す事になっている。



雪が降るのではないかという位の季節

僕達は買い物に来ていた

僕の両手いっぱいの荷物が全て生まれる子の

ものだと思うと嬉しくて。

「大丈夫ですか?少し休みますか?」

随分とお腹が大きくなったライトニングはもうすぐで妊娠8ヶ月を迎えようとしている。

「お前は私をなめているのか?大丈夫だ。さっきからそればっかりだ」

「でも…」

「ほら、行くぞ」

ライトニングが僕のしているマフラーを引っ張る。

「ライトさん!コレ見てください!」

僕はある店のショーウィンドウの前で足を止めた。

そこは小さい子用の店でマネキンが温かそうな格好をしている。

僕達は誘われるように店の中に入った。

「このマフラー良いな。この子に」

ライトニングは真っ白い小さいマフラーを手にとって言う

「こっちの白い帽子も。あれ?
手袋もありますよ」

「これなら男でも女でも大丈夫だな」

手のひらに収まるくらい小さなマフラーと帽子と手袋を購入し店を出る。

「オムツは買ったし、洋服も買った。防寒具も買ったし…後は…」

「ライトさん!ちょっと待っててくださいね」

僕は良いことを思いつきとある店の中に走る

急いで…急いで…

僕はライトニング用のマフラーを買った。

「ライトさん!これ」

そしてそれをライトニングの首に巻いてやる

「これは…」

「僕とお腹の子はマフラーがあります。

だから貴女にもマフラーをプレゼントです。」

僕の発言にライトニングはくすっと笑った

「面白い事を言うな。お前は……ありがとう」

「かわいいです!」

「ばっ!見間違いだっ」


買い物を済ませ家に帰り、夕食をとった後

僕達はまた屋上に出ていた


「ねえライトさん」

月がきれいな夜

いつか見たような満天の星空の下僕は愛しい
人に優しいキスを落とす。

「僕が始めてあなたにキスをしたのってここでしたよね」

「ああ。あの時の事はよく覚えている」

今日のように少し肌寒い夜だった。

でもなんだかライトニングが隣にいてくれるだけで温かい気がして

「ライトさん寒くないですか?」

「少し」

ちょっとだけ素直になったライトさん。

「部屋に戻りますか?」

「もう少しここにいないか?こうしていれば温かい。

マフラーもあるしな。」

自分から僕の方に体を寄せてくる。

そんな彼女を僕は優しく抱しめた。

「…なぁホープ」

「どうしました?」

「私は今幸せだ。とても」

「…僕もです。この子も」

少し大きくなったお腹を触る

性別は当日の楽しみとして教えてもらっていない。

「あっ、今動きましたよ。ママに似るといいね〜。

美人さん決定だ。男だったらイケメンさんですね。

運動能力もライトさんに似るんだぞ。」

「待て、私に似たらひねくれた子になりかねん。

お前みたいに真っ直ぐな子に育てよ。

あと頭の良さと優しさもパパに似るんだ。

なんなら見た目も性格もそっくりに生まれて来い」

なんて言って笑い会う。

かけがえのない時間。

「私は学校行事とか授業参観にいきたいんだ。

私が小さい頃授業を抜け出して1度だけセラの授業参観に行った事があるんだ。

その時セラが凄く嬉しそうな顔をしていた。

だからこの子のにも行きたいんだ。」

「良いですね。ライトさん運動会とか活躍できますね!

あと僕はいろんな所に旅行していろんな景色を見せてあげたいです。」

「少し大きくなったらパルスの大平原にも連れて行こう。

あの大地を一度は見ておいて欲しい。」

「だったらヤシャス山から見る景色も綺麗です。

あとはみんなでボーダムの花火とか」

「良いな。女の子だったら料理ができるようにしてやりたい。

男ならスポーツだ」

「やっぱりライトさんに似ると良いですね」

夢を語り合う。幸せの時間。

空を見上げるライトさんは星よりももっと遠くを見据えているような目だった。

「そろっと戻りますか。」

「そうだな。」

こんな時間がいつまでも続きますように。

僕は綺麗な月に願った。




―――…


「じゃあ僕は書類を大学に提出に行ってきます。
出来るだけ早く戻りますけど…」

チラッと外を見る。

めずらしい大雪の日。

ベランダに積もった雪が冬に咲く花を隠す。

「雪で電車が止まるかも知れない。

気をつけて」


「はい。ライトさんも何かあったらすぐに電話してください。」

「分かった。いってらっしゃい」


「行ってきます」


僕はライトニングに行ってきますのキスをすると傘をさして駅に向かった。









Side:Lightning

ホープが出かけてから随分時間がたった気がするけれど

実際は4時間というところか。

本来なら戻ってきてもいい頃だが…

突然リビングでコミュニケーターの着信音が

鳴って私は重いお腹を抱えて立ち上がる

急いでリビングに向かうと着信はやはりホープだった。

「あっ…ライトさん?

駅で電車が止まってしまってですね…

タクシーやバスも人がいっぱいで

3時間待ちとかになっていて…

もう夜だしパルムポルムが近いんで

最悪の場合今夜はこっちに泊まっていこうかと。

様子を見て電車が復旧ししだい家に帰ります。」

「分かった。温かくしてろよ」

「はい。ライトさんも何かあったらすぐに電話してくださいね」

「ああ。分かったよ」

通話を終了した後コミュニケーターを机の上に置き寝室に戻る

なんだか今日は少し体調がすぐれない。

テレビをつけて交通情報を見る。

電車が止まった様子で混雑する人々の様子が写されていた。

こんな大雪が降ること自体もめずらしい。

おそらくパルスの気候にコクーンがついていけてないのだろう。

ホープは今頃パルムポルムの家に向かっているのだろうか…


ホープがいない夜は久しぶりだ。


なんだか広く見えるベッドのシーツを握り締めた

少し眠って起きてみると時刻は20時過ぎだった。

のどの渇きを覚えキッチンに向かおうと立ち上がる。


その瞬間腹部を鈍痛が襲う

「いっ……うぅ…」

どうした…なんだ…この痛みは…

まさか陣痛?でもまた8ヶ月に入ったばかり、早すぎる。

とにかく連絡を…

リビングに置きっぱなしになっているコミュニケーターまで

たどりつこうと立ち上がるもすぐに倒れてしまう。

力が 入らない

「くっ・・・痛っ…ぐぁっ…」

だんだんと冷や汗が流れ出して手足が痙攣してくる

誰か…助けて…



コミュニケーターの着信音がひどく遠くで聞こえた気がする。

「あ…ホープ…助け…て…うっ」

まるで腹が焼けたような痛みの中私はもがく

だんだん呼吸するのもままならなくなっていく

「……ホー、プ……」

助けて…この子を…



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