12-6
Side:Hope


まさかライトさんとこんな所で会うなんて…

苦しい…心が苦しい…

嬉しいはずなのに…



ライトさんの子を見た時、髪の色で僕の子だったらどんなにいいかなんて思った自分が恥ずかしい。

だったらライトさんは僕と別れたりしなかったはずだ。



「…話がある。」

ライトニングが突然そう切り出す

「家に来てもらえるか?」

ライトニングにそう言われては、断る理由もなく僕はライトニングの後をついていった。

もしかしたら辛い話を聞く事になるかもしれない。なんとなくそんな気がした。






顔色の良くなったルナちゃんを寝かしつけた後

ライトさんは無言で、何かを言いにくそうに俯いていた

「あの…そんなに言いづらい事でしたら…無理しなくても…」

「……」

ライトさんのこの表情…相当だ。

こんなつらそうな顔はあまりしないのに…

「ライトさ…」

「すまなかった!」

突然響いた声に僕は驚く

「え…」

「私は…お前に隠し事をしてた。でもやっぱり言わなくてはならないと思って…」

ライトニングは俯いたまま顔をあげない。

「あの子の髪を見て、何か思わないか?」

あの子、とはルナちゃんの事だろう。

光を跳ね返すような見事な銀髪。

でも柔らかい髪質

「…僕の髪色と似てる気がします。…でも残念だけど、あの子は僕の子じゃない。

他に好きな人がいたから、あなたはあの時僕と別れる決意をしたのでしょう?」

「…違うんだ…」

消え入りそうなほど小さいライトさんの声

「僕は1年前、あなたに振らたのは自分が悪いと自分を責め続けて来ました。

でもあなたの残した言葉から考えると他にあなたに好きな人が居たのかと…

だったら仕方が無い事なんだと…」

「違う!好きな人なんて…お前意外に居なかった。

でもお前はまだあの時二十歳になっていなかったし、学生だった。

お前が卒業したら言おうと思っていた。

やはりお前は私のせいで未来を縛られてはいけない、そう思ったんだ。」

「どうして…未来を縛るとかって何です?

またおかしな事を考えていたんじゃ…」


「違うんだ…」


「分かりません!!違う違うって…

だったら何なんですか!?」


僕の声が部屋に響く

その声でルナちゃんが泣き出した。

ライトさんは床に座り込んでしまい、動かない

突然大声を出してしまった事に後悔した。

「うぇーーーーん!」

すごい泣き声に僕はルナちゃんが寝ているベットに駆け寄り

ルナちゃんを抱き上げた

「びっくりさせてごめんね…だから泣かないで…」

「ふぇ… ひっく…」


兄弟も居なかったし子供なんて抱いた事の無かった僕だけど、

ルナちゃんは不思議と泣き止んだ。


まだライトさんはその場から動かない。

「その子は…お前の子だ」

ライトさんが発した言葉に僕はまたしても心臓が止まりかける

「え……」

「最初からお前の子だと分かっていた。


でもそれをお前に言ったらお前は夢を諦めてしまうんじゃないかって…


ずっと、私はお前に迷惑をかけ続けてきたのに…


また迷惑をかけるのが嫌で… 



私は、ルナを一人で育てようと思った。



でも、やっぱり父親のお前には伝えておかないといけないと思ってこんな勝手な事を言い出した。


ただのわがままだって分かってる。


…私が悪い事も。

でも、お前がお前の人生を進むためにはこの子のせいで私に縛られちゃいけないと思ったんだ。


許してくれ…」



突然すぎる告白に頭の回転が追いつかない。



「嫌です。一生許しません…」



「……その答えは覚悟していた。

どうしても許せないなら…私の顔を見たくないのなら…もう会わなくても、

もう話を聞かなくてもいい。

なんでもする。

私を殴ってもらっても構わない!」



「…そうですか。じゃあ…目をつぶってください」

僕の言葉にライトニングはきつく目を閉じて顔を伏せた。


ちいさな肩が震えている。



バカだなぁ…殴る訳ないのに…

こんなに愛しいライトさんの事を


僕はその体をふわりと…

そして力強く抱しめた


「絶対許しません。一生。」


ライトニングの肩がまた震える

「償ってください」

「私はどうすれば…」


「あなたは許されるまで僕のもので居てください。ずっと。」


「…え…」

「まだ頼りないですけど、一生かけて絶対に幸せにします。

ライトさんも、この子も。



僕の未来を縛ってしまうのが嫌なら、

僕があなたの未来を縛ります。




僕はあなたと離れるほうが何千倍もつらいんですよ!」



「………」

「僕はあなたとずっと一緒にいたい。

もう離したくない…

だから、僕と結婚してください。」


「!」


ライトニングは驚いた顔をした


「お前…それがどういう事だか…」


「分かってます。最初から…

あなたを手放す気など無かった…

僕は最初からあなたとの未来を望んでました。

もしあなたがクリスタルから目覚めなかったとしたら大人になっても、

おじいさんになってもずっと待ってた。

そのくらいの覚悟はありました!

でも、あなたが拒否されるなら…」

ライトニングを抱しめる腕にさらに力を込める

「私は何度もお前を傷つけたし、この子の存在を隠してお前から離れたりした。

こんな女と一緒になっても良いことなど何も…」



もう一度腕に力を込める。



「あなたがいる。



それだけで僕は世界中の誰よりも幸せです」


「…すまない」

ライトニングがつぶやいたその言葉にふられる事を覚悟する。

だがその言葉の続きは思っていたことと全くちがった

「私はバカだ。

自分ひとりで育ててみせると…

お前に迷惑はかけまいとお前から離れたのに…

なのに…私はやっぱりお前が居なきゃ…

…私は…お前が…ホープがいなきゃ…

ダメなんだ」

ライトニングの綺麗な瞳から涙が溢れた…

ポロポロと涙を流すライトニングを見て、僕は誓った






もう泣かせない…


彼女をずっと笑わせる…


幸せにする…





世界中の誰よりも…

絶対に。




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