12-5
それから半年が過ぎて僕は大学を卒業した。



ライトさんにふられたことを勉強することで


紛らわしてきたおかげか


大学も首席で卒業する事ができた。


そんな僕が職場として望んだのは軍での仕事だった。


沢山の人を救うにはこれが一番良いと思ったからだ。


今は軍の病院の近くにある研究施設で新薬の研究に励もうと思う。


他の人より何倍も毒や病気を見てきたし、パルスを知るものとしてはこの仕事は向いていると思う。


卒業し、就職先は決まり最近ちょくちょく出入りしている。


ライトさんとはあれから1度も会っていない。


でも僕はまだライトさんを密かに思い続けている。


もう手の届かないライトさんの事を…



ライトさん…今何しているんだろう…


ライトさんと、ライトさんが愛してる人とその子供とで幸せにやっているだろうか。


「ホープ!何ボーっとしてんだよ!」

わいわいがやがや騒ぎ立てる仲間たちが集う

パーティの中に僕はいた。

これは軍の新薬研究チームの歓迎会だ。

もちろん僕は歓迎される側なんだけど。

「ホープー!お前、ワインとビールどっちにする?」

「僕は今日はお酒遠慮します。」

友達の質問を軽く受け流して時計を見る。

午後6時、

始まったばかりのディナーパーティだがにぎやか過ぎるくらいだ。

みんなのこのテンション、いつまで続くのだろう。

元気だな…

僕はこのテンションに確実に置いていかれてる気がする…

僕はあることに気付き声をあげる

「あ!」

「どした?」

「コミュニケーターを研究所に忘れてきて…

少し取りにいってきます」

あれをなくすといろんな情報が入っているから困るんだよな…

そんな事を思いながら僕は研究所に急いだ




Side:Lightning

「ふぇ〜〜!うわ〜〜」

泣き出した我が子の声に短い睡眠時間をまたも削られる

一人での子育てがこんなに大変だったとは思っていなかった。

だがこの子の顔をみればそんなもの吹き飛んでしまう。

「どうした?ルナ」

「わーん!うぇーーん」

泣くのはいつもの事だが…

この泣き方…

私はふと気になってルナの額に手をよせる
熱い…

「熱か!?」

私は急いで体温計で体温を測定する。
案の定熱がある。

まずい、今日は祝日でやっている病院なんて…

とりあえず、つれていこう

私はルナを毛布にくるみ一番近い病院へと急いだ。

いつも私を見ているおせっかい医師なら確か小児科の知識があったはずだ。

頼む、居てくれ。


病院のロビーについて今病院内にに当たっている医師を確認する。

目的の名前はない

運が悪い…他を当たろう…

振り返り元来た道をもどり始め、

廊下の角を曲がったところで向こうから来た人にぶつかった。

「っ…すみません、大丈夫ですか…?…」

「ああ、大丈夫……」

「…ライトさん…?」

この我が子と同じ銀髪の青年は…

「ホープ!?」








「また偶然ですね…そんなに急いでどうかなさったんですか?」

「子供が熱を出して…

今日は祝日でやっている病院がないから

私についている医者なら小児科の知識が

あるかと思ってつれてきたんだが…居なくて…」

「そういう事でしたら、僕もみれます。

僕、今実はここで軍医の新薬開発チームに勤めてるんです。」

「お前…っ!」

「だから、少しくらいの知識ならあります。さぁ、こっちへ」

ホープに案内されるまま新薬研究チームの研究室に通される

「でも小児科の無い病院に連れてくるなんてチャレンジャーですね…」

「…慌てすぎて…」

ホープが綺麗なシーツをすいたソファーの上に私はルナを降ろした。

毛布の隙間から見えた銀髪にホープは何も言わずに治療を始めた



「ホープ…この子の具合は…?」

「大丈夫です。小さい子でも使える薬を投与しました。

ただの風邪だと思います。最近冷えますから…

でも念のため熱がこれ以上上がったり、

続くようでしたらちゃんとした小児科の診察を受けてください。」

いまはすやすやと眠るルナの額にはりついた前髪をあげてやる

「良かった…」

「とても…かわいいですね…お名前は?」

「ルナだ。」

ホープはへぇ〜…と言ってぷにぷにとよこから頬っぺたをつつく。

「ルナちゃん、色白な所とか、瞳の色とか…

お母さん似ですね。将来美人決定だ。」

「不安になるようなことをいうな…」

色白な所はある意味お前に似たとも言えるが…

「…本当にかわいい…」

ホープの子だから…

何も言わず微笑むホープに私は疑問を投げかけた。

ある意味地雷とも言える質問

「……何も…聞かないのか…?」

私の質問にホープは何がです?と言って首をかしげる

「聞きたい事は沢山ありますが…僕は

ライトさんが言いたくないと思うことは無理に聞きませんよ」

「………」

ホープはもう20才を超えている。

学生でもない。


私は本当の事を知らせたほうが良いと思う。

それは私のわがままだって分かってる。

勝手な事だって分かってる。



でも…




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