12-3
Side:Lightning

ホープにちゃんと別れを告げた

これで良かったんだ…

この子の事でホープは縛られてはいけない。
私がこれ以上ホープの未来を縛るような事をしてはいけないんだ。

そう心にいい聞かせるも涙は零れ落ちる

バカだ…泣く必要なんて無いのに…

震える体をじっと押える

私はホープが好きだ。

離れるなんて考えられない。

でも、自分の意思よりホープの未来を…


母は強し と 以前ホープから聞いたことがある。

私も強くならなくては…


その日の晩は家で一人泣き続けた。

明日から泣かなくて済むように。



次の日

「………」

リグディは私の書いた退職届けを受け取りあんぐり口をあけた

「すまない…」

「待て!待ってくれ!理由は何だ!?

金か?今お前を失う訳にはいかねーんだ。

理由を話せ。さもなくばこれをシュレッダーにかける。

または燃やす。」

ひどく慌てた様子でリグディは椅子から立ち上がる

なんにしろこいつにも理由を話さなければならないだろう。

隠す必要もない

「実は…子供ができた。私は産もうと思っている。

そうなれば任務がこなせなくなる。」

「ええ―――!まじか!おめでとう!

ホープは何て…名前なんてもう決まってたり…」

「ホープとは…別れた…」

「は?」

「私が別れて欲しいと言ったんだ。子供は、一人で育てる。」

「ちょちょちょ…待て!お前やっぱバカだろ!

子育てがどんなに大変か分かってるか?

ホープとなぜ別れた!」

「大変さは分かってる。私はセラを育てた。

ホープは私に縛られていい存在じゃないんだ」

「そういう問題じゃ…」

「そういう問題だ。」

リグディは困ったように頭を掻いた

「100歩譲ってホープの事は置いておくとして、

子育ての資金はどうするんだ?

貯金はあるにせよそのうち困るようになるかも知れないだろ…」

「……」

「無理にとは言わない。文官とか秘書として軍に残るという考えはないか?

子供が大きくなったら現場に戻ればいい。

それに仕事につれてきても良いぞ。

保育施設もあるしな。」

「…でも」

「お願いだ。やめるなんて言わないでくれ…頼む」

リグディがこんなにも必死になっている所を今まで数回しか見たことはない。







「「え…」」

「なんだ?」

「それ本当か?義姉さん!」

アホ面を並べるヴィリアース夫婦の顔を交互に見る

「いやっほーい!」

「おめでとう!お姉ちゃん!」

手を取り合って喜ぶ姿はまるで自分たちの事のようだ。祭りか?


まずセラとスノウに報告することが大事だと思い

子供が出来たことを知らせに来た。のだが…

「ホープ君は何て言ってるの?」

この言葉に現実に引き戻される

元はこのことを報告しに来たのだ。

子供ができた事

ホープと別れた事

一人で育てる事。

「ああ…ホープとは…―…」

―…


「え…」

報告をし終えた後のセラは悲しそうな顔をしていた

「どうして!なんでホープに何も言わなかったんだ!」

「そうだよ!お姉ちゃん!今からでも話し合えば…」

「良いんだ。私が決めた事だ。一人で育ててホープに迷惑をかけないと。

だからホープには言うな」

「でも!お父さんはホープ君なんだよ?

ホープ君何も知らないで…悲しんでるんだよ?」

「それでも!ホープの未来を私が縛ってしまうよりはマシだ。」

「父親がいないことの悲しさを義姉さんだってわかってるだろう?

その子にそんな思いをさせるのか?」

「そうだよ!やっぱり考え直そう?ね?」


それでも…

「お前達がどうしても反対するなら…私は遠い所に身を隠す。」

セラにはスノウがいる。私がいなくても大丈夫だ。

ホープも一人でやっていける。

私にもこの子がいる。


勿論納得などしてくれない2人を家に残し私は自宅に向かった





←戻る
3/11
 next→
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -