12-2
チャイムを鳴らすとすぐに玄関の扉が開いて

体を中に引きずりこまれた。

3ヶ月の間離れていたぬくもりが一気に体に戻り私は胸の高鳴りを覚える。

「ライトさん…会いたかった…」

この声の主は勿論

「私もだ、ホープ…」

―せめて…

「くるしいぞ」

「すいません・・・つい…」


―今晩だけは


「ライトさんが来ると分かっていたので夕飯を作って待っていたんです。

どうぞ」

「いつもすまないな」






―夢を見させてくれ




楽しい時間というのは本当にすぐに過ぎてしまう。

「ライトさん…」

「……」

「…寝ちゃいました?」

「……」

「愛してます。おやすみなさい…」

お互いに素肌を密着させ私はホープの腕の中
涙を流した。

暫くすると規則正しいホープの寝息が聞こえてくる


―もうこんな風にホープと…


その夜はずっと眠らずにホープのぬくもりを感じとっていた。


私が強くいられるように。



明日の朝、ホープに話そう。





―もうお前の傍には居られない、と




Side:Hope

朝起きると腕の中に居たはずのライトニングが居なかった。

どこに行ったのか、と不思議に思い僕はリビングに出るとそこにはライトニングの姿があった。

「おはようございます。ライトさん」

「おはよう。今起しにいこうと思っていた。食べろ」

見るとテーブルの上には焼かれたパンとコーヒーが置かれている

「わぁ…用意してくれたんですか?

ありがとうございます」

ライトニングの用意してくれた朝食のパンで頬を膨らませる

「美味しいです。」

誰かの手料理を食べるなんて本当に久しぶりだ

外食以外だったら何ヶ月ぶりだろう…

「食べ終わったら話がある」

その時のライトニングの雰囲気に僕は何かを感じた。



「で、話って何ですか?」

朝食を食べ終わりひと段落ついた頃

テーブルの上のコーヒーカップの湯気が揺れる

「ああ…」

「ライトさん?何かお悩みですか?

僕でよければなんでも相談に乗りますよ?」

僕の言葉にライトニングは1つため息をついて目を伏せた

こんなライトニングは久しぶりに見た。

「言いづらいんだが…」

僕は固唾を呑んでその先の言葉を待つ。








「別れよう。」








予想もしてなかった言葉に僕の頭は真っ白になる

「すまない…」

「どうして…

僕はあなたに何か悪い事をしましたか?

僕が悪いなら謝りますから…

どうか考えなおして…」

驚きとショックのあまりに涙すら出ない

「本当にすまない。」

そういい残し席を立ったライトニングを追いかける

その手首を無理やり掴んで腕の中に連れ戻す

「僕が悪いなら!悪いところ全部直しますから!

行かないで…!」


俯いたライトニングの頬に光るものを見つける

どうして…?泣きたいのはこっちなのに

「そんなの嫌です!いまさら一人になんて…」

愛しくて愛しくて

長い間ずっと帰らないあなたを待ち続けた。

あなたがクリスタルからさめた時僕は確かに奇跡を見た。

ずっとずっと追いかけてやっと手に入れたと

思ったのに…

「別れよう。お前は一人でも大丈夫だ。

私はもうお前の傍にいられない」

ライトニングの体がするりと僕の腕を抜ける
離れていってしまう。

「待って!」

「私にはお前以外にも…大切な人がいるんだ」




待って…待ってよ…

「どうして…」

パタン…というライトニングが出て行った扉の閉まる音と

足音が遠ざかり僕はずるずるとその場にへたり込んだ

どうして… ライトさん…

意味が分からないよ…



音のない世界

嫌な汗だけが首筋を伝う



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