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―…



あれから暫くして再び部屋には静寂が戻った。


生まれたままの姿で私はすっぽりとホープの腕に抱かれている


ホープの呼びかけに ん? と応えると耳元で


「愛してます」


と囁かれてまた顔を赤くしてしまう


「私も…お前が好きだ」


そう消えるくらい小さな声で囁くとホープが


嬉しそうに笑った


「あなたからその言葉…やっと聞けた」


そういえば好きだ、とか、愛してる、

とか私から言った事が無かった気がする


「ライトさん、可愛かったですよ」


「…っ!!ばかっ!」


「綺麗でし……っ」


私は寝返りをうってホープの方を向き喋っている口を塞いだ


―ちゅっ…




「…初めてライトさんからキスしてくれましたね!僕、嬉しいですっ!

…ねぇ、もう一回して?」


「……」


「してくれないのなら僕からしちゃいますよ?」


「…んっ……お前キス魔だな…?」


「ライトさんがキスしたくなるような事するからですよ?」


どんな事だ…

私がそう心の中でつぶやくとまたキスを落とされた


「おやすみなさい」


幸せ、だな。私は。


それ以上にホープに良い顔をさせられた事に。





私はホープが好きだ。




そして、ホープといる時の自分も嫌いでない。


セラを守る、と決めた時から随分と急いで大人になろうと


して背伸びして大人の世界で生きてきた。


その為に自分のあらゆる物、遊びは勿論睡眠時間や体力を削ってきた


セラを守りたくて傷つけた自分が好きでなくなっていった。


身体能力は仕事上無駄になったことは無かったが、


この目立ちすぎるルックスはどうしても好きになれなかった。


そんな素直でも可愛げもない自分を好きだ、と言って慕ってくれたホープには感謝している。

ホープといる時の自分は安らげるというか昔の、純粋な頃に戻れている気がして。






―…





カーテンの隙間から朝日がさして2人を包み込む。

鳥たちが羽ばたく音が聞こえる。


「……ライトさん…朝ですよ…」

「ん・・・おはよう、ホープ…っあ…」


起きて朝日に照らされた自分の体を見て私は

顔が赤くなっていくのを感じシーツを体に巻き付けた。


「見るなっ」

「昨日の夜に隅々まで見させてもらいましたよ」

「…っ」


この幸せを失ったら私はもう元には戻れないような気がする。

それほどまでに私はホープに溺れているのだ。






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