8−3
あれからファングとヴァニラはライトニングと同じマンションに住み始めた。

2人の希望からして同じ部屋に住んでいる。

ただ、広さは私の部屋の半分程度だ。

それは軍の佐官に値する者との差だろう。

住むのには全く問題は無い広さだとは思う。


リグディとファングはどうなったか分からないが、

あの様子からしてリグディの思いはファングに届いたのだろう。

ファングはその思いに応えたのだろうか?

ちょっと前までの私とホープのようだ、と一つ静かな笑みがこぼれた。


少し思い出に浸ってふとカレンダーを見た

カレンダーの中で日付に丸がついている日を見つけた。

それは365日ある中のある1日

それはホープがこの世に生を受けた日。

―ホープの誕生日


誰かの誕生日を祝い、プレゼントを選ぶのは正直苦手だ

手助けでもあると心強いのだが…


結果、

「切り込み隊長殿〜 どういう風の吹き回しですか?」

「いいから早く答えろ」

「いきなり今欲しいものを答えろって言われてもなぁ…」

リグディは困ったように頭をかいた

というのも私が今欲しいものは何だ?と問い詰めたからだ

「そうだな。ファングだ!」

「お前、あいつとは上手くいったんじゃないのか?」

「さぁな。俺はあいつが欲しい。

でもあいつがどう思ってるか分からん事には何もできないからな。」

リグディは軽そうに見えて本当は純粋なのだ
というか、

それじゃあ答えになってない。

相談しただけ無駄だったか


私は仕事が終わった後にパルムポルムまで出向いていた。

というのはホープに会うためではなくプレゼントを探すためだ

大きめのショッピングモールに入り店を物色し始めて3時間。

いろいろな物がありすぎて何一つとして決まらない。


途方に暮れていると蒼い髪の男が私に気付いて声を掛けてきた

「あれ?あなたは確か…」

ちゃらちゃらとした感じだが身にまとっている服装はセンスがよい。

「…ユージュ、だったか?ノラの。」

「YES。そのとうりです。何かお困りのようですね、ライトニング…さん?」

「ちょっとな。その…プレゼント選びを…」

「相談、のりますよ?」

ユージュに促されて近くのカフェに入った

「で、プレゼントの相手ってどんな方ですか?」

そう問われて私はホープを思い出しながら答えた

「歳は18。体格は…お前と同じくらいだ。

アクセサリーという手も考えたのだがどのようなものが良いか分からなくてな」

私がそこまで言うとユージュに彼氏ですか?と尋ねられた。

私はそれに否定の言葉を返さなかった

「服なんてどうです?それだったら僕詳しいですし」

ユージュが着ている服からしてセンスは良いようだ。

いい助けにはなりそうだ、ととりあえずユージュの後に続いた

ショッピングモールを出て路地に入り入り組んだ道を進む。

最初は本当に道が合っているのかと不安だったが

黙ってついていけば開けた通りに出て

店に着いた。

「こんな所に店があるなんて以外でしょう?

ここの店の服、けっこう良いんですよ。」

ボーダムに住んでいるユージュがパルムポルムに詳しいのはやはり服つながりだろうか、

ただ遊んでいるだけなのかは定かでないが、

目の前の店のドアをくぐれば

きちんと整頓された服が沢山並べられていた。

「ライトニングさん的の理想は?」

「そうだな…すこし大人っぽいものが良いかも知れない。」

ホープは最近完璧に大人になりつつある。

というかもう少年のまなざしは無いに等しい。

だとしたら少しくらい背伸びをしてもいい気がする。

「だったらこういうのはどうですか?」

「…やはり服というのは着てみないと分からないな…」

畳まれたままでは想像もつかない。

それに種類もカラーも多すぎる。

「だったら僕が着てみますよ。

こういうのはあまり着ないんだけど、

体型は似ているみたいだし」

「すまないな」

それからは何着も何着も試着してもらった。

迷惑になるか…?

と心配したがユージュも沢山の服を着ることを楽しんでいるようで良かった。

十数回目の試着の後やっとプレゼントは決まった。

店員に自宅用ですか?プレゼントですか?

と聞かれてプレゼント用と答えれば数分後に

は綺麗にラッピングされて出てきた。

代金を支払いユージュを見ればあふれんばかりの服を持ってレジを通っていた

「多いな…」

そうつぶやけばユージュは でしょう!と胸を張っていった。

通販より実際着た方がしっくり着て良いらしい。

増えすぎてしまったらノラの店の前でフリーマーケットのようにして

譲ったりして資金を稼いでいるらしい。

ノラとは、ただバカなだけの集まりでもないようだ。



家に着いたのは11時近くだった。

少し遅くなってしまった。

そう考えつつホープへのプレゼントを見る。

ホープへのプレゼントは大人っぽいシャツになった。


私は言葉で伝える事が苦手だからメッセージカードでもつけようかと思う。

その日から私VSメッセージカードの戦いが始まった。

書きたい事はたくさんある。

でも…


あーでもない、こーでもないとゴミ箱に山が出来ていった



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