1−2
―コクーン―


「……」


開いた口がふさがらないとはまさにこの事だ。

何か食べましょう、奢りますから。とライトニングを誘ったら

沢山食べたいからバイキングがいいと言われ2人で店に入った。

それはいいのだがライトニングの食が進む進む。

最初美味しそうな料理を持ってきたかと思えばあっと言う間に平らげて次の皿を持って料理を取りに言ってしまう。

早食いという訳でもなくひたすらもぐもぐもぐ…

と黙って口を動かしているライトニングを見ているだけで宇宙を見たような人類の不思議に出くわした気分だ。

 一体この量はこの細いからだの何処に収められるのだろう…

食べ方はとても上品なのに量がとにかく半端ない。

こういう場での女性は沢山食べると分かってはいたがライトニングは軽くそれの上を行く

「なんだ?お前は食べないのか?」

「食べてますよ。それにしてもライトさんすごいですね…」

彼女の前には皿の山ができている。

それでもまだもぐもぐと口を動かしているのを見れば豪快な食べっぷりが逆に気持ちが良いくらいだ。

「なんだ?沢山食べる女は嫌いか?」

「いいえっ!むしろ好きです!」

それはライトニングの事だが

「ならいいじゃないか。4年も何も食べなければ相当腹が減るんだぞ」

何百年と時を越えたファングとヴァニラはどうなるんだ、と苦笑する。

ヴァニラさんはともかくファングさんはきっとライトさん以上だ

「沢山たべてください。」

「言われなくてもそうするよ」

そう言ってまた席を立った。

スープにお肉にサラダにパンに、バランスの良い食べ方は彼女らしい。

スパゲティやピザも頬張ってかつサラダをこれでもか!というほど頬張る。

こんなに食べてなんでこんなに細いんだろうか…

バイキングの入場料金の数倍は食べているはずだ。



僕は考えてもどうしようもないと思い

ライトニングに負けじと料理を口に運んだ。

美味しいことには美味しいが、目の前のライトニングが気になって食事の手が止まる。


年の差が縮まって伸びた身長で見下ろせば恋愛感情むき出しの僕がいる。

ずっと思い描いた日が現実になっている事にどうしようもない喜びを感じてしまい

もう自分でもどうすることも出来ない。



「ああ…そうだ、ホープすまないがコミュニケーター貸してもらってもいいか?」

「良いですけど…なぜです?」

「いや…セラの所には明日とかに顔を出すとして、

これから泊まる場所も無いからホテルでも借りようかと…私のコミニュケーターは使えないし、幸いカードは使えるからなんとか…」

この言葉を聞いて僕はチャンスだ!と思った
おそらく妹夫婦の邪魔はでいないからという理由だろうが

反対から見ればライトさんの近くにいれるチャンスでもあるのだ。

「僕の家なら空き部屋ありますよ?家具もそろってますし。ライトさんがよければぜひ来て下さいよ。まだまだライトさんに話したい事が沢山あるんで」

「でも、親父さんに迷惑かけるだろうし…」

「父さんはエデンに単身赴任中です。1人暮らしなんです。あとプラスひなチョコボが1匹の2匹暮らしです」

「……お前に迷惑かけるのもなぁ…」

「ライトさんを一人にさせておくほうが気がかりですし…ライトさんが嫌なら話は別ですが…」

「嫌ではないが…」

さすがに抵抗するよな…と僕は思ったがライトニングの返事に僕は飛び上がった

「すまないが、おじゃましてもいいか?」

「はい!」

部屋を片付けておいてよかった…


彼女と4年ぶりに話して、触れて…

触れて…? …!そういえばあの時…どさくさに紛れて抱きしめた体の感触が蘇って顔が

ボン!っと赤くなる


「ホープ?」

「…はいっ!」

「どうした?」

不思議そうに顔を覗きこんでくるライトニングにこの赤い顔を見られたくなくて僕は席を立った。

「いえ、スイーツ系でも食べようかな…なんて…ははは…」

「…?」



結局ライトニングを自宅に連れ帰って

普段は使わない2階の客間に招いた

「本当にすまないな…すぐに何とかするから」

「いえ、なんならもうここに住んでいただいてもかまわないですよ?」

僕的にはむしろその方が…

「だから気にしないでください、

あと…リビングから見て左の廊下の突き当りがバスルームとトイレ、リビングの横のドアを開けるとキッチン。

廊下の途中にあった階段を上がって、すぐの部屋が僕の部屋なので…

何かあったら何でも言ってくださいね。」

「ああ。分かった」

「じゃあおやすみなさい…」

「おやすみ」

彼女を部屋に残して僕は自分の部屋に向かった。






―なんだか夢みたいだ…

こんな都合の良い嬉しい事が現実に起きるなんて…




Side:Lightning

ホープに案内された部屋のベッドにもぐりこむ。

指の1本1本を月光にかざし確かめるように動かしてみる。

思うように体が動く。

クリスタルになって眠ってたときは諦めていた

自分が次に目覚めるのは何百年、何千年と時がたった時かもう2度と目覚められないか。

どちらにしろ永遠に一人だと思った。

いや…セラがスノウと上手くやっているとしたらすでに私は一人になっていたのか…


寝て覚めたら4年も時が経っていた。

ファングやヴァニラに比べればかなり短い間だったけど、正直なところ心細い、

あの2人が目覚めたときは2人一緒だったけど今の私は1人だ。

4年の間に新しい機器などがかなり発達していて使い方も良く分からないし

もう何がなんだか分からない。

―こんなんで1人暮らしできんのか?

と思ってみてもここに留まるのはホープの迷惑になってしまうだろうからもってあと数日。

これからどうしようかと考えては見るもあまり良い案は出そうにないのでとりあえず置いておくとする。


冷たい空間で眠っているときに明らかにホープの声が聞こえていた。

自分の名を呼ぶホープの声に誘われるようにホープの声が聞こえてくるのを楽しみにしている自分がいた。

目が覚めた時にホープがいてくれて良かった…

それよりも4年間もの間、私なんかを忘れずにいれくれた事と遠いパルスまで来てくれていた事、

冷たい永遠の眠りから引き覚ましてくれた事、

こうやって今助けてくれている事、いろいろとホープには感謝している。

4年前の戦闘の中でも今でもホープには助けられているな…と自嘲する。

7つも年下…いや、眠っていた時間を考えれば年もそこまで変わらないだろうな…

ホープは確実に私の支えになってくれている。

何かお礼でもできればいいのだが私はそういう事については得意でないため礼をいう位しかできないが…

せめて自分のせいであんなことに巻き込んで

しまったホープにこれ以上迷惑をかけないようにしよう。

そう心に決めた。



朝起きると既にテーブルの上に朝食が並んでいた。

コーヒーカップから湯気がたっているところを見ると用意してすぐのものだと分かる

「あ…ライトさん おはようございます!」

「おはよう」

「朝食作ったのでどうぞ。

僕は学校に行ってきますから…ライトさんはセラさんの所に顔をだしてあげたらいいんじゃないでしょうか?」

「すまないな…そうするよ」

ホープはカバンを左手にぶら下げて振り返っりそのままドアの向こうへと消えていった。

ホープ、本当に身長伸びたな…

4年という年月があっての事だろうが今では

もう子供とは言えず完璧に大人に近づいて来ている。

強情そうな銀髪と碧色の瞳こそは変わらないものの、

整った顔立ちについてはハイスクールに通う女子達には相当人気がありそうだ。

私はホープの女性関係は全く知らないが…

ホープくらいの年になれば一人前に恋人なんていたりするのだろうか…?

それもそれでなんだか親心のようなもので寂しいのだが…

私はホープが作ってくれた朝食に手を伸ばした

こんがり焼けたトーストをかじってみれば蜂蜜の程よい甘さが口に広がり

それをほろ苦いコーヒーが打ち消して良いバランスを保っている

一言で言えば、美味だ。

以前にホープが母は料理上手だったと言っていた事からして才能を受け継いだのだろう
か?

料理の才能は是非私も欲しいものだ。



朝食を食べ終えて私は家を出た。

コミュニケーターが古くてダウンしているために連絡はしていないが、

セラの事だからどうせ家にいるだろう…

そう予想してセラ達が住む家に向かった。



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