7−7
こういう時の時間というのはゆっくりにも感じる。

それでも1秒、2秒と着実に時計の針は進んでいく。

時間が近づいてくるたびに恐怖心も少なからず膨らんでいく。

ホープを失う事に恐怖を感じ、すがるようにホープの体に抱きついた

「ホープ…」

「大丈夫」

優しく、今までの中で1番強く抱きしめられて震える鼓動を落ち着ける。

大丈夫、大丈夫、と頭の上から聞こえる何度も

つぶやく声だけを頼りに私も腕に力を込めた。

静寂の中、秒針の音と自分とホープの心臓の音だけが耳に入る。

規則正しいリズムは生きている証でもある。


カウントダウンが聞こえ 私はぎゅっと目をつぶる

「10 9 8…」

ホープがカウントダウンを開始し何とも言えない感覚に襲われる

「4…3…2…1…」


カウントを終えてすぐに地響きのような音が響き渡って

地面が揺れ始めたかと思えば、

揺れは爆発的に強くなってコクーンを飲み込んでいった。



―繭が破壊されし時。

クリスタルの一部が爆発し、コクーンが宙へと浮いた。

そのままパルスの大地へと落ちていく。

大地ギリギリの所でコクーンは青い光に包まれる。

ギアの発動の成功

ゆっくりと地面に着地する。

それはとても神秘的で長い間続いてきたコクーンの

歴史を一気に塗り替えるような出来事。

パルスの大地に抱かれ、揺れを共有し
コクーンは広い大地におさまった。

その瞬間を待っていたかのように4年以上コクーンを

支えていたクリスタルがはじけ飛んだ―


「ライトさん、怪我はありませんか?」

私を逞しいうでて落下物から守ってくれたホープが目の前にいた。

着地成功。

リグディをはじめとする政府の対策は大成功を収めたという事だ

「ああ。私は平気だ。…っ!外見ろ!」

私とホープが割れなかった窓から外を見ると白い結晶が空気中に踊っていた。

「雪…ですか?」

その物体をホープが手に取る

「いいや。クリスタルだ」

続けてわたしもそれを手に取った。

それはかつて旅をした白い砂漠、色のない世界のような白い結晶。

クリスタルの結晶だった。


私がそれを眺めているとコミュニケーターの着信音が鳴った。

相手はリグディだ

「はい。」

数コールで答えればひどく慌てたリグディの声が聞こえた

「予想外の自体だ。

お前の意思で決めてもらってもかまわないが、

これからパルスに降りないか?」

リグディからは詳しい話は聞けなかったが、

ホープの同行を進めてきたため半分訳の分からないままにホープと軍の飛空挺に搭乗した。


「で、何があったんだ?」

少しは落ち着いたリグディに問う

「ああ。コクーンの着地は無事に成功したんだが…

それを支えていたクリスタルの柱が粉砕した。

雪のようなものが降ってきただろう?

あれが粉砕した粉の一部だ。」

「ええ!それじゃあ…ファングさんとヴァニラさんは…」

「一緒に粉砕された、又はまだクリスタルとして地面に降り立った。のどちらかだろう」


だからホープも呼んだのか、と理解を深めた。

もしかしたら粉砕して跡形もなく飛び散ってしまっているかもしれない。

でも一緒に過ごした仲間の姿を確認する権利はホープにもある

「もしかしたら…。確立にかけて今は先を急いでいるんだ。」

リグディが言うには、コクーンの着地は少ない被害で無事成功したが、

予想外にクリスタルが再び爆破し、粉になって辺りにキラキラと舞っている。

まだ影響は確認されていないが、力の弱まったファルシの元に集結しているらしい。

このことからファルシに何らかの力を与え助けているようにも見える。

クリスタルの中にいた2人はどうなっただろうかと気になるのは

私とホープだけでなく、リグディも気が気でないのだろう。



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