7−6
Side:Lightning

朝起きたら少し前までは見慣れていた天井があって私はベッドから起き上がった。

ホープの部屋だ

リビングにでてみればホープはソファの上で毛布に包まって眠っていた。

私がベッドを占領したためにホープはやむなくソファーを使う事にしたのだろう。

たまには私が朝食でも作ろうとキッチンに立つ

ホープが作ろうと考えていたと思われるメニューは冷蔵庫の中身から読み取れる。

コーヒーにハムエッグにパンだ。

料理はあまり得意でない。

特にお菓子作りなどには特に不向きだ。

対称的にセラは得意なのだけど。


私はまずパンをトースターにセットし、冷蔵庫から卵を2つ取り出して

熱したフライパンのハムの上に落とした。

カラカラいう音が鳴り始めて、小さくなってくればちょうど良い焼き加減の頃だ

そのタイミングを見極めて火を止める。

それと同タイミングにトースターに入れたパンが焼きあがりいい匂いを放つ。

焼きあがったパンの上にハムエッグをのせ味を調えて

コーヒーメーカーで出来上がったコーヒーをカップに注ぎ

砂糖を少し入れたものを2つ用意し片方には

ホープ用にミルクを入れた物を用意する。


テーブルにそれを並べてリビングのソファで寝ているホープを起せば

いきなり毛布の中に引きずり込まれた

「なっ・・・」

「おはようございます。ライトさん。

なんだかライトさんの旦那さんになった気分です。」

朝起きて朝食ができているのが嬉しいのか、

人の作った料理が嬉しいのかは分からないが

ホープは上機嫌だ。

ホープを引きずり出してテーブルの椅子に座らせる

「作ってみた。簡単な物だから食べれなくはないと思うが…

味の保障はできない」

ホープは一口コーヒーを口に含む。

丁度いいです。と微笑むのを見て私は安堵する。

それに続いてパンも頬張った。

「美味しい。ライトさんって自分で料理は苦手って言いますけど、

実は得意なんじゃないですか?」

「セラやお前に比べたら苦手な方だ」

私の言葉にまたホープは微笑んだ

「セラさんはきっとライトさんに美味しい

ごはんを食べさせたくて努力したんですよ。

僕は母さんの手伝いで大体は分かってましたから」

いつの間にか朝食を平らげたホープがご馳走様でした、

と食器をキッチンに運ぶ

「私が洗うから、そのままにしておいてくれ」

ホープをそう制し、洗面所に追いやる。


ホープが洗顔や歯磨きをしている間に私はテレビをつけた。

あと3時間。

どの局でもやはり例の対策の事が取り上げられていた。

政府の発表によると、クリスタルからコクーンが離されるのが今日の正午。

成功率は少し上がったという事だが安心は出来ない。

願わくば今日が最後の日にならないように。

そんな不安を抱いているのは全コクーン市民統一してだと思うが

既にパルスに非難した人間も多いらしい。

もともと数が多くて全員は降りられないが。

食事を終え食器を片付ける。

すると洗面所からホープが戻ってきた。

「あと…もう少しですね」

「ああ。」

「気晴らしに散歩でも行きましょうか」

ホープの提案で小さな店が密集している商店街に向かう。

流石に今日はやっている店は少ないが、

散策が目的な為に店の状態はあまり気にならない。

無言で歩いて行くと公園のような広場に出た。

ベンチに並んで腰掛ける。

「なぁ、ホープ」

今日の私はなんだか変だ

「どうしました?」

「どうして、私なんだ?」

こんな質問を直球にホープに投げかけてしまっている。

ホープはクエスチョンマークを頭の上に浮かべて首をかしげている

「どうして、沢山いる人間の中でお前は私を好きだと言ってくれるんだ?」

「どうしてって…好きに理由なんてあるんでしょうか?

強いようで本当は傷つきやすい所とか見ると抱きしめたくなるっていうか…

守りたいって無性に思うんです。

あなたのその優しい所も、ちょっと素直じゃない所も。髪も、唇も、

…その瞳が好きだから…要するに、

ライトさんが大好きだからですよ。」

ホープの包み隠さない言葉に私の頬が赤くなる。

見られるのが恥ずかしくて私はプイっとまた顔を背けた

「可愛い。」

顔を覗きこまれてしまいそんな言葉まで言われる始末。

こんな質問を投げかけるなんて本当にどうかしている。

でもなんだか言葉が欲しくって私はそう問いかけた。

他愛のない会話を十分に楽しんだ後

ベンチの背とホープの肩に身を預け瞳を閉じた


どのくらいそうしていただろう

突然ホープに名前を呼ばれて私は目を開いた


「そろそろ家に戻りましょう」

そう促されて戻ってみれば時刻は既に11時半

をとっくにまわっていた

―あと10分

部屋に戻り、

ソファーに腰掛けた

「この家の中って何処が1番安全なんでしょうか?」

おそらく地震のような揺れを想定してでの心配だろう。

ガラスの多い部屋は危ないし、ホープの家の作り上、

もしかしたら広いリビングが安全かも知れないと告げる。

「じゃあここにいましょうか。」



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