7−5
「ファロン、ご苦労だった」

基地に帰るとリグディが待ち構えていた

「もう返してやりたい所だがそうもいかなそうだ。

ちょっと手伝ってくれ」

促されて情報を映し出すスクリーンに目を向ける

「暴動は起きていないんだが、

ギアの拡大版ってか着陸に使う装置がもうすぐ完成しそうなんだ。

実験は出来ないから何とも言えないが」


それからはあれだ、これだ、と会議を重ね

結局その日のうちは家に帰れなかった。




浅く短い眠りから覚めて仕事に向かう。

当然ホープに連絡すら取れていない

そんな事を数日繰り返す。

運命の時はもうすぐに迫っている。


計算しつくされ製造されたコクーンの運命がかかったギアも完成し

最終会議が開かれる

「この数日間、みんな本当にご苦労だった。

明日がやまだ。

これから全員休暇にするがみんな無事でいるように。

復旧作業は主に地元警備軍が行う。

俺達は指揮をとる。

もしもの時の為の場合に今日は大切な人との

時間を大事にしてくれ」


テレビにはギア発動までの時間がカウントされていた

死へのカウントダウンにならないように祈るのみだ

とりあえず、この後は休暇だ。



ここ数日ほとんど寝ていないために疲れている。

とりあえず、と家から着替えを持ち出してホープの家に向かうべく

パルムポルム行きの列車に乗った

駅から出て記憶を頼りに進めばホープの家が見えてきた

ホープの家はやはり周りの家よりも綺麗だ。

いわゆる高級住宅街というものの中でも一際目立つ


玄関のベルを鳴らす。

辺りは暗くなりかけているのにも関わらず電気は付いていない

ホープが出る事を期待したのだが中からの返答は無い。


ホープのコミュニケーターの番号にコールしてみるも応答はない。

出かけているのか…

私は疲労から来る睡魔に襲われて着替えの分の服まで着込むと

立ったままドアにもたれかかった。

こうしていれば温かいし目を閉じていれば疲れはそのうち取れる。




Side:Hope


ホープが食料の買出しに行って戻ってくると

誰かが家の前のドアにもたれかかっていた

―ライトさん?

近づいてみればそれは間違いなくライトニングだった

この状況からして…とコミュニケーターを

確認してみれば丁度僕が家を出た30分前に着信が入っていた

「すみません!ちょっと買い物に出てました。」

「……」

呼びかけてみてもライトニングからの返事はなく俯いたまま

「ライトさん…?もしかして…怒ってるんですか?」

「……」

おそるおそる彼女の肩をつかんでみる。

するとバランスを崩したライトニングが僕の方に倒れてきた

「わっ!どうしたんですか?…って…寝てる?」

よく訳の分からない状況に陥り僕はとりあえずと

ライトニングをお姫様抱っこで運び上げてベッドに寝かせた。

ライトニングはまだ眠っている。


―相当に冷えている。って事はこの人は30分間外で立ったまま寝てたのか?

僕が近づいても起きないって事は相当に疲れているんだろうな…

普段なら飛び起きるはずなのに…それに、

普通なら立ったままで眠ったりはしない…

いろいろな事を考えてみるも彼女が寒くないように

家中から布団を引っ張り出してかけてやる

具合は悪く無さそうだから大丈夫だとは思うけど、

この人は無理をしすぎだ。


きっと最近テレビの情報を占拠している例の対策のせいだろうが…

こんなに疲れるまでよく頑張れるよな…


それにこの前テレビで事件のニュースを見て相当にビックリさせられた。

というか心臓が止まるかと思って釘付けになった。

あの時テレビではエデンで起きた暴動事件の様子が生放送されていた。

僕はそれをただ見ていた。

突然軍関係者が犯人が立てこもっているビルの中に入っていった。

ピンクブロンドの髪が鮮やかなスタイルの良い女性。

顔は見えなかったけれどすぐに写っているのはライトニングだと確信した。

テレビの前で瞬きもせずに見ているとどうしようもなく心配で不安に駆られた

ライトさんに何かあったら…なんて考えているまもなく 

ビルから逃げ出してくる男達。

すぐに外で包囲していた政府の軍人に確保されていく

固唾をのんで見守ればすぐに少年を負ぶった

ピンクブロンドの髪がスクリーンに大々的に映し出された。

―良かった…

ほっと胸を撫で下ろせばなんだか体の力が抜けてしまい

暫くの間ボーっとしていたのを覚えている。


そんな事を思い出し僕はライトニングの髪を撫でた。

こんな小さな手と細い体であんな攻撃を繰り出すなんて…

かつてルシだった頃に何度思ったことだろう。

この華奢な体を抱きしめられるようになるまでの時間は凄く長かった気がする。

クリスタルとして眠っている間、先が見えずにどんなに悩んだか

今ではいい思い出として残っているんだけど。

隣ですやすやと眠るライトニングの手を自分の手で包み込む

僕の身長はライトさんよりは高い。

そして手はライトさんよりもかなり大きい。

ライトさんは女性なのだから当然の事だろうけど、

なんだかそれだけでも嬉しいのだ



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