7−4
「ようこそ」

「今度の要求は何だ?」

「だから、対策は中止しろ。俺は対策のせいで死にたく無いんだ」

これだけの人質を取っておいて自分は死にたく無いとは随分身勝手だ

「もし仮に対策を中止したらどうなると思う?

それともギアの力もなしにコクーンと一緒にパルスに叩きつけられた方が良いか?」

「死にたく無いからこうしてるんだろ!」

「だったら大人しく軍に降伏し、人質を解放するんだな」

「黙れ!もういい。かかれ!」

男が叫ぶと見張りだった男たちが案の定ドアを思い切り開いて上がりこんできた

私はかかって来る男たちに集中しながら人質の人間を安全な場所に避けさせる

「男16対女1でどうにかなると思ってるのか!」

男が嘲笑うように私を見下す

「運が悪かったな。泣いて頼んだって死ぬまでやめねえぞ!やれ!」

私は親指と人差し指、中指に装着されたギアをこすり合わせて起動させる

「運が悪いのはお前たちの方だ。」

すぐさま剣を抜いてかかってきた男たちの武器をなぎ払う

「うわぁ!」

向けていた銃など剣になぎ払われ原型をとどめていない。

若干10名の武器を粉砕したところで武器を奪われた男たちは外に逃げ出した。

残り6名

閃光の名の如く素早い動きで、武器だけを狙って斬っていく。

命は奪うなというリグディからの命令だ。

「どうした?かかって来い」

「うわぁーーー!」

相手を挑発し、やはり武器だけを狙う。

武器をなくして素手でかかってこようというスノウのような馬鹿はいないようだ

男の仲間は一人、また一人と減っていき、ついには主犯の男一人となった。

「残念だったな。」

男はポケットからなにやら小さい物体を取り出した

「手榴弾だ」

それはおそらく形状からしてこの建物のこの階を吹っ飛ばすほどの威力があると予測できる。

まずい、中にはまだ動けずに人質が残っているのに…

「手をあげろ。動くなよ…動いたら…ドーンだ。」

私は人質の人間の方をかばい手を広げる

「武器をよこせ」

おびえる女性と子供達を見れば動けない。

「死にたく無いと言っている割にはそれだと自殺行為だぞ?」

「…仕方がないだろう!こうするしか!」

どれだけ自己中心的な考え方なんだ

その時後ろで軍とつながっているであろう回線の呼び出し音が鳴った。

今だ

男が少し気を取られた刹那、手榴弾を持っている方の手に剣を振り下ろした

命を奪わなければ怪我をさせてもかまわない。

そう言っていたリグディの命令に従って指だけを切りおとした。

「ぐぁっ!」

ひるんだ隙に男を蹴って気絶させ手榴弾を回収する。

それまでの時間はコンマ数秒

後ろで歓声が上がった

「皆さん、怪我は?」

明らかに怪我をしている少年をおぶる

「動ける人は私について来てください。子供達を最初に。」

敵は残っていないだろうと予測し私は階段を降り始める。


ドアを開いて姿を見せた瞬間に外でも歓声が上がった

「お母さん!」

子供の一人が母親らしき女性に駆け寄る。

「人質はこれで全員ですか?」

「おそらくは。中にはいなかった。

主犯の男が上でのびている。拘束を頼む」

「はっ」

軍の兵士が数人で階段を駆け上っていくのを確認し、

負ぶっている少年を救護隊に預けた


これで事件は解決だ



そう尖らせていた神経を解くと周りには幸せそうな家族の姿が目に入った。

人質だった女性や子供達の家族だろう。


微笑ましい姿に目を向けていると服の裾を引っ張られた

「お姉さん!」

見るとまだ小学生位の少年が立っていた

緑色の髪にくりくりの目がかわいらしい。

私は目線を合わせるようにしゃがみこむ

「どうした?ママやパパが見つからないか?」

声をかければ少年は首を振った

「最初からいないんだ。お兄ちゃんはいるけど」

ある意味この子は私やセラと同じ境遇なのだ。

「それよりお姉さん!カッコよかった!

僕も大きくなったらお姉さんみたいな軍人さんになるんだ!」

少年は目を輝かせてそう言った

「そうか。待ってるぞ」

頭を撫でてやると少年は嬉しそうに兄らしき青年のものにかけて行った

こんな私でも夢を持たせてやれる事ができるんだな


ほっと胸をなでおろしたのもつかの間あっと

言う間にテレビやレポーターに囲まれてしまい苦笑する

適当に交わし逃げるように飛空挺に乗り込む



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