7−2
「ファロン、援護頼む」

「了解」

その数時間後にはエデンのサーキット、

かつて私達がルシだったころに乗り込んだ政府が管理する場所に政府関係者とその他市民が集められた。

その様子を実況するテレビカメラなども多く集まっている。

ネット上では既に情報が公開された様子だ


私とリグディはステージとなる部分の裏側に身を潜めていた。

「時間になったら出る。もしもの事があったら俺も応戦するが…」

そんな事を言っている間にもアナウンスが流れ始め

リグディの演説の時間が始まる。

サーキットの中心にあるステージに上れば一気に人々の視線が集中した

「今日付けで政府代表になったリグディだ。

急だが既に流れている情報の通り今コクーン

には深刻な問題がおきつつある…」

リグディが淡々と説明をしていく。

その間私は全神経を会場に向けて研ぎ澄ます
今のところ変わった動きは無しだ。

「…コクーンが助かるためには一度コクーン全体を無重力化して…」

説明を続ける中で市民たちの顔が変わっていった。

恐怖と期待が混じったような顔だ

「だが成功率は高くはない。

というのもコクーンがパルスに無事に着地する成功率はかなり高いが、

着地した時の衝撃として大地震のようなゆれが想定される。

それで…」

辺りはまたも静まりかえる

「市民の皆さんにお願いがある。

この作戦が実行されるのが5日後の予定だ。

それまでに決して暴動など起して命を無駄にしないで欲しい。

起しても何も変わらない。

ただクリスタルにかかる負担が大きくなって

一層危険になるだけだ。

政府としてはこの方針で進めていく。

賭けるか、ただ崩壊を待つか。

残念ながらはむかうものにはそれなりの処置を検討している。以上」

恐れていた銃撃や侵入などは無く、舞台袖に隠れた所で私は息をついた。

「ちょっと市民を挑発しすぎではないのか?」

「これくらいでいいだろ」

リグディは終わったーと息をつくように正装のボタンを外した。

どうやらちょっと気の抜けた服装のほうが性に合っているらしい

「上層の軍関係者には前日まで働いてもらって、

当日は自由だ。何があってもおかしくないからな。

上手く行ったら後の処理は警備軍も総動員でやるつもりだ。」

こんなにも急であちこち混乱してはいるがなぜこいつはこんなにも冷静なのだろうと思う。

もしかしたら愛する人を、ファングを失う可能性だってあるかも知れないのに。

「なぁ、もしクリスタルが崩壊したらファングとヴァニラだって無事か分からなくなるだろう?」

「そうだな。

でも、今の俺は代表ってゆー仕事があっからさ。

信じるしかねーんだ。あいつらを」

情報の処理に追われ

遅くに家に帰るとホープがテーブルの上に所狭しと料理を並べて待っていた。

「おかえりなさい!朝食抜かした分まで食べてくださいね」

厳密にはしっかりとした昼食も取ってないのだが…

「ああ。すまないな」

とりあえず着替えてリビングに戻る。

「ライトさん、さっきから流れてるリグディさんの演説って…」

「5日後だ。」

「それって危険な事なんじゃ…」

「そうだな。軍人は各地の暴動の制御にあたる。

私は引き続きリグディの補佐だが…」

こんな事があってはやはりホープとて心配なのだろう。

ホープは少し口をつぐんだが明るい声をあげた

「そうなんですか!リグディさんの補佐をライトさんがしているなら安心ですね!」

「え…」

「ほら、奇跡はうちらの得意技だ!

ってファングさんが言ってたじゃないですか。

それにライトさんがいれば大丈夫です。」

何の根拠があってそうなるんだと苦笑する。

「明日から、お前にも会えなくなる。多分連絡も取りづらくなる。

当日は全員フリーだから…お前の家に行ってもいいか?」

ここは高層マンションだ。

どんなに耐久に優れていたとしても背が高い分危険もともなう。

それに…

「お前の近くにいたい…ダメか?」

「…ダメな訳ないじゃないですか。待ってます。」

私だって少しは怖い。

セラにはスノウがいるし、自分の命を失う事については恐怖を感じないが、


もしホープに何かあったら、と考えると・・・


「大丈夫ですよ。」

ホープが私の心境を読んだかのように優しく私を抱きしめた。

「大丈夫」

ホープの優しい腕に包まれて心を癒す。


その夜も昨夜と同様にただホープの腕の中で眠った



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