4−4


「ファロン?起きてるか?俺だ、リグディだ、開けてくれ」

突然ドアの向こうから声が聞こえて私は慌てる

こんな泣きはらした顔他人に見られたくない

「待て!」

「別にお前が泣いていようと俺は気にしないぞ?」

また超能力チックなものか…

それでもドアを開けようともせずに私が顔を洗うのを待っていてくれた

「よう。どうだった?」

リグディが恐る恐る顔を覗きこむ。

分かっているだろう、私の様子を見ればお見通しなはずだ
「軽蔑された。」

「…そうか。まぁお前ならすぐに新しい男が…」

「必要ない。」

私の言葉にリグディがため息をつく。

恋などつまらないものだと思っていた。

縁がなかったのは成長を急ぎすぎたからかも知れないが。

でもホープにだけ初めていろんな感情を抱いた。

そんな人がこの先現れるような気がしない

「理由は話せたのか?」

「…ダメだった」

「…そうか。まぁあまり自分を責めるなよ。

悪いのはあいつだ。あ、ちなみにあいつは地方に移動させる事にしたからな。

ファロン、軍を辞めるなんて言い出さないよな?」

「ああ。お前には借りがあるからな」

「良かった。お前のことなら任務に集中した方がいいか?

休みの方がいいなら休みでも問題はないが…」

「できれば任務の方がいい。」

「よし。そうと決まれば元気出せって!そんな暗い顔してっと死ぬぞ!?」

軍の任務で死ねるなら何も考えなくて済むからいいとも思うが。

軍人たるもの任務で死ねるなら本望だなどいえるほど情は注いでいない



それからの私は現実から逃れようと仕事に専念した。

それでも少しでも時間に余裕が出来てしまうとすぐにホープの事を考えてしまう。

人に感づかれないように、夜一人で何度涙を流したかさえ覚えていない。

心に開いてしまった穴を埋めることも出来ずにただボーっと過ごしていた


私が招いたことだ。なのに自分では現実を受け入れられない。

こんなにも自分の中でホープの存在が大きくなっていたのだといまさらながらに思う。

いまさらになって気付くなんて私は相当なバカだ。

本当に大切なものすら自分で守ることも出来ない。


もう何もする気も起きなくてただ考えないために任務に専念する。

―もうあれから2週間がたとうとしている。
飲食をする気にも、睡眠をとる気にもなれずに夜を明かす。

そんな日常を繰り返していた。

私は私が嫌いだ。



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