4−2
私が目を覚ますとそこは見慣れない部屋のベッドの上だった。

「ここは…?」

独り言をつぶやいてみるも自分の姿にはっとする。

シャツのボタンが引き裂かれて半開になって乱れている。

「やっと起きましたか、ファロンさん…」

現れた男の姿を見るや否や起き上がろうとするが体は動かない。

「睡眠薬でも飲まされたんですかー?

その手の奴は意識がはっきりしても体はなかなか動きませんからね。

強いものなので」

「ふざけるな…お前がやったんだろうが…!何のまねだ…」

「あなたを手に入れる為ですよ?言ったでしょう、こちらにも戦略があると」

レイの言葉に怒りがこみ上げる

すぐにでもリグディや警察にでも言いつけてやりたい気分だ


レイにすごい力で押さえつけられてベッドに組しかれてしまう

「愛してますよ、ファロンさん」

首筋を撫でられて私は身震いをした。
気持ちが悪い。

逃げたい。でも体が動かない。

どうにかしないとこのまま取り返しのつかないことになってしまう

「提案ですが、僕と付き合ってくれませんか?」

怪しい笑みを私に向けてレイはそう耳もとで囁いた

今すぐにでも剣でなぎ払いたいがやはり体も動かない

「断る!」

そう言えば、レイは乱れた衣類の間から私の胸の方に手を滑り込ませる

「くっ…」

気持ち悪さが先立つ感覚

「簡単な事ですよ。ファロンさんがOKを出してくれればやめますよ。

もしNOといい続けるのであれば最後まで続行します。

あ、すでに写真とってあるので、リグディさんとかに話したら最後ですから」

どんなに触られても決して快感などは覚えないが血を吐くような不快感が押し寄せる



助けて…ホープ…



「昨日、ファロンさんの家に男が泊まって行きましたよね?

どういう関係ですか?ホープ・エストハイムとかいう高校生のガキと…」

「なぜお前が…そんな事を知っている…」

「調べたんですよ。ファロンさんと同じようにね。

付き合っているんでしょう。どうしてあんなガキと…

あんな奴より僕のほうがあなたに相応しい。」

「ホープに手を出すな!」

「そういえば調べで分かったんですが、ホープ・エストハイムという人間、

あの顔立ちと性格からして相当に女が寄り付くんですよ。

同年代の子に飽きてファロンさんのような年上の女性に興味を持ち始めたんでしょうか?

どちらにしろ、すぐに捨てられますよ?」

「ふざけるな!私の事は悪く言ってもいいが、ホープを悪く言ったら許さないっ!」

私が叫ぶと痛いほどに胸をつかまれて私は身を捩る

「その格好で言われても迫力ありませんね。どうです?あの人より僕を選ぶ気になりましたか?」

「なる訳無いだろう!いい加減にしろ!離せ!」

「仕方ないですね。続行しますか…」

「やめろ!」

私の叫びも届かずにまたもレイは妖笑を浮かべる

それを見切って力が弱まった瞬間に私は溜め込んだ力で思いっきりレイの顔を蹴り上げた

「まだこんな力が・・・?」

ふらつく足でレイに追いつかれないように玄関に移動し逃げるようにドアを開く

これで逃れられる。そう思った刹那私は絶望を見た

「ライト・・・さん?」

ドアを開けたらホープが私の家の前にいたのだ。

腕時計を取りに来るといっていたからだが状況が悪すぎる。

「ホープ!違っ!これは…」

乱れた格好で言っても信じてもらえないかもしれないが、誤解だけはされたくないと思い必死に言葉を並べる

だが後ろからレイに抱きつかれ腕で口をかなり強く圧迫されて声を出す事すら不可能になってしまう。

「どういう事ですか…?ライトさん…その格好…」

「ああ、彼女と愛し合っていた最中だったんだよ。

続きがしたいからそこをどいてくれないか?」

「ウソだ…ライトさんがそんな事するはず…」

「嬉しかったなぁ…僕を選んでくれて…ファロンさんが僕の部屋を訪ねて来てくれた時は。

それでいきなりこういう体勢になって…

あんなに可愛く淫らに喘ぐ彼女が見れるなんて…」

「どうして…」

私は違う!と首を振るがものすごい力で押さえつけられていて息をすることすらままならない

「…どうしてって…これを見ても分からないかい?これが彼女の本心だよ」

「…どうしてですか…ライトさん…僕はあなたが受け入れてくれたのかもって…

舞い上がって…やっと手に入れたって思ってた…

好きな人がいたならもっと早く言ってくれればよかったのに…

ひどいですよ…あんまりです。

そんな優しさ僕は欲しくなかった!」


ホープは怒りと悲しみが入り混じった瞳でそういったあと振り返ること無くエレベーターの向こうに消えていった。

「あーあ…怒っちゃいましたね。これでもう迷う事はなくなりましたね」




苦しい。心が苦しい



逃げられない…



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