2−4
次の日も昨日と同様にリグディと合流した


「戦力も問題ないようだし、次に俺が演説をするときに援護頼むぞ。

何が起きるか分からないからな。

これでも俺、命狙われてんだよ」


「軽く言うなよ。まぁ力は尽くすが。」

聞くところによると、

ダイスリーの政策でパージされて殺された人の家族が今でも政府を恨んでいて、

直接関係の無い騎兵隊にいたリグディですらも暗殺を唱えているらしい。

代表として上に立つだけそういう危険が増える事は仕方がないことだが、

もともと腕の立つリグディが護身をつけるという事は少しは危機を感じたのだろう。

「そーいや一つ聞いていいか?」

リグディが興味深そうにこちらを見るので私は眉間を狭めた

「レイが気になることを言っていてな。ファロンあいつとどういう関係だ?」

またあいつがらみか…私はため息をついた

「昔の上官にあたる人間だ。なんというか…」

「あいつはお前に好意丸出しだしな。なんとかしてやったらどうなんだ?」

「なんとか出来たらいいんだが…」

昔のように簡単に諦めてくれそうにないだろうな。

また厄介な事になりそうだ

「昔の事が気になってお前たちと働いていた同僚捕まえて話を聞いたんだ。

お前も苦労したようだな」

良かった。リグディは話を分かってくれそうだ

「ああ。」

「それで極力お前との時間をずらして仕事を

入れてるから安心しろ。そんな事のためにお前を軍から失うのは御免だからな。

緊急時はどうしようもなくなるかも知れないが…

俺は基本的にお前とホープを応援してるぞ。」

リグディの口からホープの名が出てきて私は

リグディに質問を返した

「なぜホープの事を…」

「見てりゃ分かるって。俺、その手の勘には鋭いんだ。

ホープはお前の事が好きで、お前は遠慮してホープの気持ちを待たせている。

違うか?これもはっきりしてやれよ」

「はっきりか…」

一言つぶやき私は少し考えた。

私なんかがホープのそばにいることなど望んではいけないと思う

ホープは私のような人間よりもっとふさわしい女性がいるはずだ。

あの時は自分の気持ちがはっきりと分かるまで 

なんて保留にも近い事を言って逃れたが

気持ちがはっきりと分かった以上は伝えるしか選択肢は残っていない

「仮に私がホープを求めていようともホープにとって良い事はない。

他の人と幸せになるのが最善の策なはずだ。

その為なら…私は…」

「またそうやって自分の気持ちを殺すのか?」

リグディの言葉に過去の思い出が蘇った




母が死んで強くなるために泣き叫ぶ事も許さず殺した心

セラの為なら自由を奪われてもいいと、自分の自由すら殺した心

本当はつらかったのに仲間に心配かけまいと殺した心



結果としてそれらは何も失わなかったけれど、何も得られなかった。

「お前に振られて抱いていた恋心を打ち砕かれた奴が例え他の女と付き合ったとしても

本当に幸せになれると思うのか?

それでなくとも思春期はコロコロ心が変わるのにあいつはずっとお前を好きでいたんだろ?

最善の策なんて決まってるさ。

相手の幸せがどうの言う前に素直に打ち明けろよ。」

リグディの言葉に私は何も言えなかった


「それに……好きで、そいつがどんなに欲しくても

伝えられずにただ思うことしか出来ないよりは、

目の前にいるんだからちゃんと言いたいことは言って置いたほうがいい。」

「……」

「話したくても相手が聞ける状況じゃ無い事だってある。 

あ、ほら。人間いつ死んじまうか分からねーんだし。素直になれよ。」

いろいろと含みがある表現は実体験なのだろうか?

背中に向けて放たれた重みのある言葉は私の中に吸収された。



話が聞ける状況になった。クリスタルではなく、今は動ける人間なんだ。

もし、素直になるとしたら…



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