好奇心

「リクオ様! あの娘、なんか変です!!」

「うん…どこか変わってるよね。」


氷麗は本当に分かりやすいな…絶対に門井さんのことを嫌ってる。
でも、確かにアレでは嫌われても仕方がないかもしれない…。なんというか…いじめられそうなタイプだ。


「……にしても、変じゃないですかぃ?
母親の顔を知らねぇ上に、生きてるのか死んでるのかも分からねぇって…。」

青の言う通りだ。
もしそうだとしたら、母親が行方不明になっているってことかな。

「父親が酷い人で、子供置いて逃げたとかかしら?」

「…父親か。
母親のことを父親から聞いてないってことだよなぁ。何かそれも変な気がするぜ。」

「でもあのブレスレットだけは母親からって知ってるのね…何だか変な家庭ね。」

青や氷麗の話に耳を傾けながら考えるけど、やっぱり分からない。
お父さんはいるのだろうか…
兄弟や姉妹はいないって教室で言ってた気がする…
あれ、そういえばお父さんの仕事でこっちに来たって言ってなかったっけ?


「あ〜っ もう分からないよー!!」

「リクオ様! 放っておきましょう!! あの娘のことは忘れるべきです!! キレイさっぱりに、今すぐに!!」

「…雪女、オメェはあの娘が嫌いなだけだろ。」

「う、うるさいわね! そう言う青はどうなのよ!!」

「まあ…なんてーか、訳アリそうな娘だな。」

氷麗は関わらない方がいいって言ってるし、青はどっちでも良さそうだけど…
うーん……
……やっぱり、困ってる人がいたら無視できないよね。


「氷麗、青田坊!」

「はい!」

「何ですかい?」

「彼女の事は詮索しなくていい。もしかしたら知られたくない過去とかだってあるかもしれないし…
でも!!
もし困ってそうな時があったら、門井さんを助けてあげよう!!」

「…困ったような顔とかするのかしら…」

「確かに…表情がねぇよなぁ。」


うっ…確かに。
最後に困ったことあったら言ってね、って言った時も『多分ない』って言ったし…


「そ、それでもだよ!!
もし困ってそうだって思ったら、2人とも彼女を助けてあげること!! いいね!?」

「「…はい! / へい!!」」


氷麗…今少し間があったけど大丈夫だよね!?
……うん、大丈夫だ。
何だかんだ言って、結局氷麗も面倒見がいいし、困ってる人を無視出来ないタイプだし!


「じゃ、ボクはそろそろ教室に戻るから!」

「はい! いってらっしゃいませ!!」

「授業、頑張ってくだせぇ!!」


2人に見送られながら、ボクは教室へと向かう。
頭の中を占めるのは…やはり転校してきた変わった門井さんのこと。


「…なんだか謎解きみたいだな…。」


何故こんなにも気掛かりなのか…
きっとそれは、彼女が謎に包まれているからだ。
隠し事や秘密、禁止事項などがあれば、逆に好奇心が出て、抗いたくなるのが生き物の性。


「……明日もお昼誘おうかな、なんて。」


そんな事をしたら、氷麗に凍らされそうだからしないけど。でも心の隅で「明日も屋上に来ないかな」と思わざるを得なかった。



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